オチョロイ伯爵の自信
オチョロイ伯爵との問答は平行線。
全然打開出来ない。
無理だ。
言い負かせる気がしない。
僕
「失礼します。」
オチョロイ
「次はしっかりとアポイントをお願い致します。」
僕
「ジョシュア様にはいつお会い出来ますか?」
オチョロイ
「前向きに検討されるでしょうが、お忙しい状況です。何時になるかはお約束出来かねますな。」
ニヤニヤと勝ち誇るオチョロイ伯爵。
イラッとするけど、乱暴なことはできない。
僕
「わかりました。
ジョシュア様にご自愛くださいとお伝えください。」
オチョロイ
「承知しました。」
くそ~。
腹立つな~。
でも、強引なことをするとパエルモ伯爵に迷惑をかけるかもしれない。
イライラしながら伯爵の屋敷を出る。
案内という名目の追い出しでした。
何も出来なかった。
あんな連中に囲まれているジョシュア様が心配だ。
僕はそのまま満腹亭に帰った。
営業後の片付けの目処が立ったタイミングでペネロペ様とカミラさんに集まってもらった。
僕は一通り状況を説明した。
カミラ
「よく我慢されました。」
ペネロペ
「優秀な執事を回復させるだけでも全然違いますよ。」
僕
「これからどうするのがいいかな?」
ペネロペ
「オチョロイ伯爵の動きが異常です。
パエルモ伯爵は国内トップクラスの大物、
それに比べてオチョロイ伯爵は陛下のお情けで伯爵になっただけの小物。
パエルモ伯爵に喧嘩を売っても、負けることは目に見えています。」
カミラ
「何か勝てる見込みがあるのでしょうか?」
ペネロペ
「後ろ盾にバーバラ様がいる、
という可能性が高いです。
ですが、パエルモ伯爵は王妃でも簡単には喧嘩を売れない相手です。
よほどの勝算がないと、、、」
カミラ
「今回の魔王軍との戦いで亡くなるとでも考えているのでしょうか?」
ペネロペ
「兵力を大きく損なう可能性はございますが、連合軍が大敗でもしない限り、パエルモ伯爵が亡くなるような事態はないでしょう。
その時はセントラル大陸すべてが危機的な状態です。内輪でもめている場合じゃないでしょう。」
カミラ
「もうすぐ勝利の情報も届くでしょう。
そうなれば、オチョロイ伯爵の、いえ、バーバラ様の真意も見えてくるかもしれません。」
ペネロペ
「出来れば真意が明るみに出る前に手を打ちたいですわ。」
僕
「とりあえず、
今日の夜、王宮に忍び込みます。
そこで情報収集をしてから考えましょうか。」
カミラ
「くれぐれもご無理はなさらないでくださいね。」
僕
「もちろん。」
そして夜。
満月亭から、こっそり王宮に忍び込む。
姿を消しての夜間飛行。
バーバラ様の部屋の場所はペネロペ様に聞いている。
当然ながら護衛の兵士たちはいる。
誰も僕には気付けないけど。
そして室内へ。
ベッドでぐっすりと眠るバーバラ様。
抵抗もなく、奴隷の腕輪をはめる。
そして、起こす。
僕
「起きてください。」
バーバラ様が少ししんどそうに目を開き、上体を起こす。
僕
「名前は?」
バーバラ
「バーバラ。」
僕
「エドワルド国王陛下のお妃様ですね。」
バーバラ
「その通りだ。」
影武者とかだと厄介だからね。
本人確認は大事でしょ。
僕
「オチョロイ伯爵たちと何か計画されてますよね。すべて説明して頂けませんか。」
バーバラ
「国を安定させるための秘策である。
心して聞くように。」
奴隷の腕輪をはめているのに、何故か偉そうな喋り方なんだよね。
たぶん、それが自然体なんだろうね。
・
・
・
バーバラ様の秘策を聞いた。
まぁ、中身はとんでもない計画でした。
僕
「何か秘策を証明できる書類とかってありますか?
あれば出してください。」
バーバラ
「もちろんである。
これを見よ。」
隠し金庫だね。
書棚の裏から金庫が出てきたよ。
その金庫から書状を出す。
作戦の概要と参加している貴族の署名と血判がされている。
動かぬ証拠だね。
もちろん確保しますよ。
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