妊婦が2人

エマ

「ペネロペ様が避難してきたんですよ~。

どうしましょう?」


「ペネロペ様が避難!?

とりあえず満月亭に行きます。」


僕とエマさんは大慌てで転移システムを使う。

エマさんに客席まで案内してもらう。



ペネロペ

「あら、アキラ様。

お邪魔しております。」


うん、ゆったりお茶してるね。

優雅なティータイムって感じ。


「ペネロペ様、お久しぶりです。

どうされたんですか?」


ペネロペ

「実は・・・。」


「なるほど。」


ペネロペ

「私の杞憂で終われば良いのですが。

念のため、身を隠したいんです。」


「わかりました。

しばらく、うちにいてください。」


ペネロペ

「ありがとうございます。」


「でも、満月亭だとスペースがないので、満腹亭でもよろしいですか?」


ペネロペ

「もちろんです。

ただ、移動中に陣痛が始まる可能性もあるので、そこが少し不安ですわ。」


「大丈夫です。

特別に僕のスキルで送ります。

一瞬で着きますよ。」


ペネロペ

「宜しくお願いします。」


「じゃあ行きますよ。」


リターンポイントを発動。


ペネロペ

「すごいスキルですわね。

もうパエルモに着いているんですね。」


「便利でしょ。

でも、内緒でお願いします。」


ペネロペ

「もちろんです。」


すぐに満腹亭に到着。


「ただいま。」


みんな

「「「お帰りなさい!」」」


「ペネロペ様、

こちらへ。」


別棟にご案内。


ペネロペ

「ここは?」


「うちの子育てスペースです。

ペネロペ様にはこちらで過ごしてもらおうかなと思って。」


ルーシュ

「アキラ様!

ペネロペ様は王族ですよ!

さすがにそれは。」


ペネロペ

「私としてはありがたいですわ。

もちろん、みなさんがお嫌でなければですけど。」


アイラ

「私たちとしては嫌ということはない。

ただ、赤ちゃんはいるし、妊婦もおります。

ご迷惑では?」


ペネロペ

「もし、よろしければ、

赤ちゃんのお世話を手伝わせて頂けませんか?

産まれる前に経験しておきたいです。

それに妊婦の仲間がいるのも心強いですよ。」


「本人がこう言ってるし、いいんじゃない?

余ってる部屋も布団もあるから。」


ペネロペ

「気は使わないでくださいね。」


アリエッタ

「じゃあ、

出来るだけ、フランクにいきますね。

さすがに王族がいらっしゃるとバレるのはまずいしね。」


マユラ

「じゃあさ、

助産師さんに一度会っておきましょう。

もしかしたら、ここで出産するかもしれませんから。」


ペネロペ

「助かります。」


「じゃあ、モミジに用意してもらうね。」


ペネロペ

「モミジ?」


「うちの家事を手伝ってくれている娘なんだよ。僕が作ったゴーレムみたいな感じ。」


モミジがペコリと頭を下げる。


ペネロペ

「すごいですわ!

もう人間にしか見えません。」


「うちは妊婦さんとか、育児中のママとか、いっぱいだし、秘密も多いから下手に人も入れらないからね。」


ペネロペ

「必要性はわかりますけど、普通はこんなすごい物を作ろうとは思いませんよ。」




それから、

色々と案内して、

暮らす準備をして。


そんなことをしている間に夕食の時間に。

ペネロペ様も一緒に食べる。


話題は山盛りありますよ。

僕は戦場から帰ってきたところだし、

ペネロペ様もいるし。


「アーサーさんも無事です。

まぁ、死傷者は多かったみたいですけど。」


カミラ

「アーサー殿下の名声は天井知らずですね。」


ペネロペ

「無事なのは有難いんですけど、これ以上名前が売れるのは弊害も多いから、困るんですけどね。」


とか、


ペネロペ

「一連のパエルモ領への嫌がらせは、おそらくバーバラ様が黒幕だと思います。」


カミラ

「エドワルド陛下は?」


ペネロペ

「あくまでも想像ですよ。

私のイメージでは、陛下は全容を知らないのだと思います。」


「どうしてですか?」


ペネロペ

「陛下はパエルモ伯爵を恐れています。

ですので、こんな子どもじみた嫌がらせをしないでしょう。

本気でパエルモ伯爵が怒れば、国を傾かせかねないことを理解しておられますからね。」

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