選んだ道

目を開くと、

そこは戦場だった。


もう魔王は消え失せた。

戦った跡だけが残り、モンスターたちは遠巻きに見ている。


体に異常はない。

ステータスもそのまま。

特に違和感も無い。


スキルは、、、

確かに減っている。

暴食などの大罪スキルがなくなっている。


サッ!


飛び出してきた影。


それはガウだった。


ガウ

『何があったんだ?

主の気配が一瞬消えたと思ったら、テイムがなくなっていた。』


「説明が難しいんだけど、、、

ざっくり言うとテイムスキルが失くなったんだよ。」


ガウ

『スキルが失くなった?

そんなことがあるのか、、、

だが、確かに、、、』


「で、さ、

ガウはどうする?

テイム消えちゃったんだけど。」


ガウ

『特にどうもするつもりはない。

主のことはテイムとは関係無しに主と認めている。

それに、今の環境にも満足している。』


「ありがとう。

それじゃあ、戦場にいる他のメンバーを集めてくれる。

説明しないとダメだし。」


ガウ

『わかった。』


ガウが飛び去った。




続いて、

結界で守っていたグエンさん、フレデリカさん、マサキを僕の前に戻す。


マサキは気を失ったままだ。

応急手当だけはしておいたから、死ぬ心配はない。火傷の跡も少しは残ると思うけど、そこまで深刻なことはないと思う。


グエン

「まさか魔王を一方的に殴り倒してしまうとはな。」


フレデリカ

「ここまで強いとは。」


「いや~、なかなか魔王も強かったよ。

かなり本気出したから。

それでさ、2人に頼みがあるんだけど。」


グエン

「なんだ?」


「僕が魔王を倒したという事実は伏せたいんだ。協力してくれない?」


フレデリカ

「協力はしよう。

だが、どう説明するんだ?」


グエン

「私も協力はする。

だが、私が倒したと嘘をつくのはしたくないぞ。」


「ここに万人受けしそうな人がいるじゃん。」


フレデリカ

「この勇者か。」


「勇者が魔王を倒す。

一番わかりやすいでしょ。

この折れた魔王の剣とかを証拠に持たせてさ。」


グエン

「口裏を合わすのはかまわん。

だが、弱いぞ。

この勇者は。」


「一般の人からすれば、一定以上強い人の強弱なんてわからないよ。

それに、勇者の力で魔王との戦いの時、急にパワーアップした、とかでもいいし。」


フレデリカ

「適当だな。

だが、私としても害はない。

お前の筋書き通りに報告しよう。」


「ありがとう。

さすがに戦いが終わる前に死んじゃうとまずいから、ここに結界を張っておくね。

グエンさんとフレデリカさん、マサキは出入り自由。

他は簡単には入れないやつ。」


グエン

「便利なスキルだな。」


「ダンジョンの100階まで行ってボスを倒せば、誰でも手に入れられるよ。」


フレデリカ

「それを誰も手に入れられない、と言うんだ。」


「そうかもね。

じゃあ、僕はここを離れるね。

マサキのこと、よろしくね。」


グエン

「わかった。」


フレデリカ

「後は任せろ。」


まぁ、あの2人は大丈夫そうだね。

強いし。





3人と別れて、少し場所を変える。

そこには従魔たちが集まっていた。

もちろんこっちに来ていないボゥはいない。


「集まってもらってごめんね。

実はテイムスキルが失くなっちゃいました。

だから、従魔という関係じゃなくなっているんだよ。

僕からはみんなに何かを強制したりすることはもう出来ません。

今後についてはみんなの判断でいい。

どうするか、考えてみて。」


リン

『どうするもないよ。

アキラ様むちゃくちゃ強いし~。

別に離れる理由もないもんね。』


ドラ

『おう、

俺のボスは変わらないぜ。』


ハナ

『・・・ずっと一緒。』


ゲコ

『それが総意じゃな。』


ベル

『待て! 待て! 待て!

私はまだ何も言ってないぞ!

勝手にまとめるな!』


ガウ

『ベルは去るそうだ。』


ベル

『勝手に去るって決めるな!

残る!

残るんだよ!』


リン

『なら、いいじゃん。』


ベル

『よくない!』


みんな残ってくれるみたい。

一安心だね。

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