傲慢な魔王

ズドォォォン!


「いきなり何?

って言うか暑過ぎでしょ。」


フレデリカ

「あれすらも一撃か、、、」


魔族をメイスで殴り飛ばした僕を見て、フレデリカさんが驚いている。


グエン

「アキラ殿、

あれが魔王だ。」


グエンさんが指差す場所には偉そうなおじさんがいる。


「そう。」


僕は一気に魔王との距離を詰め、メイスを振り抜く。


「えっ!?」


魔王

「なっ!?」


僕の一撃は魔王に受け止められた。

強くなってからは初めての経験と言ってもいい。そんなに手加減してなかったんだけど。


そして何故か、

受け止めた魔王も驚いていた。


魔王

「凄まじい、、、

凄まじいぞ!

この力、、、

ククク、、、

ハッハッハッ、

笑うしかないな。」


「何がおかしい?」


魔王

「貴様、何者だ?

何故、それほどまでに異常な力を持っている?」


「わざわざ、敵に力の秘密を教える必要がある?」


魔王

「敵、、、

どうだ、私に仕えないか。

特別待遇を約束するぞ。」


「あのさ、

負けるつもり無いんだよね。

だから、あんたに仕える理由も無い。」


魔王

「お前はどう足掻こうと、

この魔王ガルダイアには勝てない。

お前がどれだけ桁外れのステータスだとしても、私は常にその上をいく。

私はそういう存在だ。」



う~ん、

素直に聞けば、相手のステータスを自動的に上回るスキルを持っているってこと?

心当たりは1つだけある。


「『傲慢』。。。」


魔王

「ほう。

我がスキルを知っているか。

貴様のその異常さも、特殊なスキルの影響か?」


「『暴食』

一言で言えば、ステータスがガンガン上がるスキルだよ。

そっちは?」


魔王

「『傲慢』

相手のステータスを自分のステータスに上乗せするスキルだ。

正直、驚いたぞ。

ここまでのステータスになったのは初めてだ。

だが、これでわかっただろう。

お前がどれだけ強くても私には勝てない。

相手が強ければ強いほど、私も強くなるからな。

どうだ。

私の右腕となれ。

そうすれば願いはなんでも叶えてやるぞ。」



ふ~、

厄介だね。

自分で言うのもなんだけど、僕と同等のステータスって凄いよ。

そんな2人が戦えば、どんな被害が出るかもわからない。


もちろん、魔王に屈するという選択肢はない。そんなことするぐらいなら最初から、魔王を倒そうなんてしないよ。



狙うは短期決戦。

僕はメイスをしまい、スプーンを出す。


魔王は勘違いをしている。

ステータスが同等なら、魔王が優位だと。

でも、そうじゃない。


僕にはダンジョンで手に入れたスキルや武器がある。

それにスキルの数も半端じゃない。

ステータスが上がっただけの魔王が僕に勝てる道理はない。


だが、長引けば厄介だ。

逃げられるのも困る。

確実にここで終わらせる。



「断る。」


魔王

「過信は死を招くぞ。」


「その言葉、そっくりそのまま返すよ。」


フレデリカさん、グエンさん、マサキを結界に入れて遠ざける。


それを見た魔王も戦闘は避けられないと考えたのだろう。

剣を構える。


次の瞬間、両者が跳ねる。


カーン


最初の一撃。

魔王の剣が根元から折れた。


魔王

「なっ!?」


丈夫な良い剣だとは思う。

でも、僕の本気に耐えられる強度はない。


二撃目。

それを受け止める武器はない。

必死に避けようとする魔王。

でも、間に合わない。


防御する魔王。


魔王

「ぐぬっ!?」 


ダメージの大きさに驚く魔王。

スプーンはすべての耐性を無視するからね。

でも、本格的な攻撃はここからだ。


「乾坤一擲。」


百錬というスキルの一種だ。

百錬はダンジョンで手に入れた物理攻撃系のスキルだ。

通常攻撃とは比べものにならないダメージを与えられる。


魔王

「ぐはっ!?」


もちろん一発で倒せるなんて思っていない。


「乾坤一擲」

「乾坤一擲」

「乾坤一擲」

「乾坤一擲」


体勢を立て直す時間など与えない。

怒涛の連打。

僕のステータスを手に入れているだけあって、やたらに丈夫だ。

だけど、HPも無限ではない。


ようやくHPを削りきった。

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