フレデリカの場合
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
今回はフレデリカ視点です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
勇者を含む各国の精鋭は敵陣深くに入り込んでいた。
ザコとの戦闘は最低限に。
目指すは魔王の首。
ただ1つ。
精鋭チームは8名。
一番強いのはグエンという男だ。
強い。
いつもなら手合せを申し込んでいただろう。
勇者は期待外れだ。
弱くはない。
一般的に見れば十分強い。
だが、伝説を作るような力は感じない。
グエンの方が強いと感じている。
グエン
「気をつけろ!
来客だ。」
私たちがいた場所が炎に包まれる。
グエンの警戒の声があったこともあり、全員無事だった。
魔族
「ネズミがここまで入り込んでいたか。」
グエン
「そのネズミさえも仕留められないとは、よほど火力が低いようだな。」
魔族
「この煉獄のベスヴィオスが本気を出せば瞬殺出来る。
だが、それでは事情が聞けないからな。
手加減をしたまでだ。
ここまで入り込める人間に興味があったのでな。」
煉獄のベスヴィオスが炎を放つ。
目に見えてわかる。
手加減していると。
だが、2人が炎に巻かれ焼死する。
フレデリカは炎をかいくぐり、必殺の蹴りを放つ。
強烈な上段蹴りは、
しかし、容易く受け止められる。
だが、
その隙をついて、グエンが剣を振るう。
煉獄のベスヴィオスも危険を感じ、大きく後ろに飛び退く。
グエン
「あれが当たらんか。」
ベスヴィオス
「良い攻撃だ。
並の魔族なら致命傷を与えられていただろう。
どうやら、お前たちが人間の切り札のようだな。
確かに強い。
油断は出来ない相手だ。
だが、油断しなければ負けはしない。」
煉獄のベスヴィオスが炎を鞭のように操る。意思を持ったかのように炎の鞭が縦横無尽に暴れ回る。
マサキ
「スタードライブ」
素早さを強化したマサキ、
そしてグエンとフレデリカ。
その3名が煉獄のベスヴィオスの攻撃に対応出来た。
接近したくても接近出来ない。
だが、無理に接近しなければ、鞭に当たりはしない。
そんな状況に、最初に動いたのはマサキだった。
マサキ
「ホーリーブレード」
マサキの剣が激しく輝き、
炎の鞭を撃ち払う。
しかし、
煉獄のベスヴィオスには届かない。
だが、一瞬、煉獄のベスヴィオスの意識がマサキに集中した隙をフレデリカとグエンは見逃さない。
フレデリカの拳とグエンの刃。
煉獄のベスヴィオスは炎の壁を作るが、間に合わない。
煉獄のベスヴィオスが吹き飛ぶ。
マサキ
「やったか!?」
だが、そんな言葉を口にしたのはマサキだけだった。
フレデリカとグエンは既に追撃の体勢。
更に数発、叩き込む。
その時だった。
咄嗟にフレデリカとグエンは飛び退いた。
「何を遊んでいる?」
ベスヴィオス
「申し訳ございません、魔王様。
今、終わらせます。」
魔王の登場に空気が一変する。
魔王がそこにいる。
魔王を倒せば戦いに勝ったも同然。
そんな相手がすぐそばにいる。
でも、体が動かない。
圧倒的存在。
疑いようのない威圧感。
意思の弱い者なら気絶していたかもしれない。
そして、煉獄のベスヴィオスの目付きも変わった。
煉獄のベスヴィオスの周囲の気温が急上昇していく。
近付くだけで命を削られるような高熱。
接近戦タイプのフレデリカやグエンとは相性が悪い。
煉獄のベスヴィオスが動く。
最初に狙われたのはマサキ。
弱者から殺す。
それだけだ。
煉獄のベスヴィオスが腕を振るう。
次の瞬間、
マサキは燃え上がり吹き飛んだ。
マサキは弱い訳ではない。
今の一撃で死ななかった時点で、十分な実力者だ。
フレデリカもグエンも、マサキを消火し助ける余裕などない。
既に煉獄のベスヴィオスの射程圏内にいるからだ。
だが、
ジュ~~~~
もくもくと煙が上がる。
マサキの火を消し、回復させる男。
ベスヴィオス
「邪魔をするな。」
煉獄のベスヴィオスが襲いかかる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます