ディーンの場合

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今回はディーン視点です。

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きつい。

本当にきつい。

モンスターとの戦いが続いている。


横は一流の第2騎士団。

それに比べて貴族の私兵の寄せ集め。

戦力としては二流以下。

その中でパエルモ騎士団が必死に戦線を支えている。


パエルモ

「ヒース!

ノスタン男爵のところが崩れた。

後列と入れ替わるまでなんとか支えろ。」


ヒース

「もう回せる人材がいません!」


パエルモ

「私がここを守る。

ヒース、お前が8人を連れて行け。」


ヒース

「承知しました!」


伯爵自ら武器を取り、戦っている。

どこにも余裕はない。

騎士であるディーンも必死に戦い続けている。


ディーン

「もう少し骨のある兵士はいないのか!」


他の貴族の騎士団がもう少し頑張ってくれればいいのに。

他が不甲斐ないばかりにパエルモ騎士団への負担が増えるばかりだ。


ズバァァァァァァン


強烈な光の帯が戦場を走る。

無慈悲な光。

その光が通過した跡には何も残らない。


トンプソン

「あれは攻撃なのか、、、?」


ディーン

「あれが魔族幹部の力、、、」


聖職者のような男が静かに佇んでいる。


魔族

「我は光滅のルクレイン。

すべてを滅ぼす者なり。」


体が、

心が、

魂が、

警鐘を鳴らしている。


逃げ出したい。

だが、、、


ディーン

「私はパエルモ騎士団のディーン。

勝負しろ!」


ここでこの魔族を放置すれば戦線が完全に崩壊する。

なんとか時間を稼がないと、、、

勝てるなんて思っていない。

そんなに馬鹿じゃない。


無謀。

百も承知。


ルクレイン

「愚かな、、、

力の差すらわからぬか。

死ね。」


光滅のルクレインが光を放つ。


ディーン

「はや、、」


避けられない。

光が速過ぎる。


しかし、光が目前で闇に飲み込まれる。


ルクレイン

「我が邪魔をする愚か者よ。

その罪を死して償え。」


リン

『嫌に決まってるじゃん。』


光と闇の乱打戦。

流れ弾がかすっただけで死ねる。

そんな異常なレベルの戦い。


ディーンにはどちらが有利かもわからない。

とにかく2人の戦いから離れる。

逃げなかったモンスターは巻き込まれ死んでいく。


ルクレイン

「滅!滅!滅!」


リン

『そんな攻撃が通用すると思ってんの?

アハハッ、

バカなんだ~。』


ルクレイン

「ならば、絶対的な一撃を受けてみよ。」


光滅のルクレインが両手を胸元に持ってきて、そこに力を集める。


リン

『その程度で、よく自信持てるね~。』


リンの右手に闇が集まる。


ルクレイン

「滅せよ!」


光滅のルクレインが放った強烈な光がリンを撃ち貫く。


光に貫かれたリンの姿が霧散する。


ルクレイン

「なっ!?」


光滅のルクレインの胸を闇が貫く。


光滅のルクレインの影からリンが現れる。

その手から放たれた闇が無慈悲に命を刈り取る。


リン

『そんな見え透いた攻撃、相手にする訳ないじゃん。』


リンはそう言い残して、姿を消す。




パエルモ

「呆けている場合ではないぞ。

モンスターの攻撃がおさまっている間に、隊列を整えるぞ。

時間を無駄にするな。」


パエルモ伯爵の声に従い陣形を整える。

負傷者を下がらせて、万全の前列を用意する。


圧倒的な強者の戦いはモンスターの空白地帯を作り出した。



ディーン

「これでまだ序盤戦なんだからな。

まだまだへばってられないな。」


トンプソン

「あんなバケモノが何体も出てきたら命がいくつあっても足りんよ。」


ディーン

「生き残るには運も必要だろうな。」


パエルモ

「運に任せるつもりはない!

女神の寵愛を強引に掴み取るためならなんでもする。

それぐらいの気概が無ければ、この戦い、最後まで生き残れんぞ!」


ディーン・パトリック

「「はっ!」」


伯爵の本気を感じた。

いつもは高貴で悠然としている伯爵のがむしゃらな姿勢。

それは騎士団に火をつける。


連合軍中央の激戦は続く。

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