アーサーの場合
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今回はアーサー視点です。
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ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド
地響きとともに魔王軍の姿が見えてきた。
多い。
辺り一面を覆い尽くすモンスターたち。
まるで山が動いているかのように錯覚してしまう。
だが、怯む訳にはいかない。
声を広範囲に届ける魔道具を使う。
アーサー
『決戦の時は来た!
人間という種族の存亡をかけた戦いだ!
故郷に残してきた家族、愛する人、仲間。
それらを守る為にも絶対に勝たなければならない。
みんなの命を私に預けて欲しい。
我が名はアーサー!
皆を勝利へと導く者だ!
我と共に剣を取れ!』
「「「「おぉぉぉ!!」」」」
士気は高い。
魔王軍を見ても心は折れていない。
アーサーは本陣から全体を見渡す。
戦場が広過ぎて、すべては見えない。
しかし、最前線で両者がぶつかったのを確認した。
カルマール
「いよいよ始まりましたね。」
レズン
「モンスターどもの最初の突撃は跳ね返したようだな。」
アーサー
「モンスターどもに負けるようでは話にならない。本番は魔族が本格的に動き出してからだ。」
連合軍の最前線はモンスターたちの最初の突撃を防ぎきった。
モンスターと人間の最大の違いは組織力。
モンスターは一部を除いて、連携しない。
人間は組織的に防御し、攻撃する。
そしてダメージを負った者は後ろに下がり、後列から補充する。
その間にダメージを負った者を治療する。
戦線が安定している間は人間が有利だ。
戦線が崩壊し、乱戦になればモンスターたちに分がある。
時間は進む。
戦いは膠着状態。
今のところ、アーサーの作戦通りだ。
ドゴォォォォン!!
本陣近くに巨大な雷が落ちた。
カルマール
「何事だ!?」
落雷があった場所には1人の女が立っていた。長髪、整った顔、冷たい目、大きな角。
魔族。
おそらく幹部クラス。
幹部魔族
「私は『雷迅のセントラム』。
王は誰だ?」
アーサー
「連合軍総司令官のアーサーだ。」
アーサーは剣の柄に手をかける。
セントラム
「私は短気でね。
頭をさっさと潰そうかと思ってね。」
アーサー
「やれるものならやってみろ!」
セントラム
「勇敢なことだ。
それとも力の差がわからないだけか?
まぁ、いい。
さっさと終わらせてやる。」
雷迅のセントラムが両手に集中する。
そして、
巨大な雷撃を放つ。
雷撃は一直線にアーサーを目指す。
射線上にいた兵士が巻き込まれ、瞬殺されていく。
だが、
突如地面から現れた巨大な岩の腕が、雷撃を受け止めた。
セントラム
「ほう、、、
やるな。」
ハナ
『・・・ムダ。』
アーサーは冷や汗が止まらなかった。
当たれば確実に死ぬ雷撃。
アキラが護衛としてつけてくれた少女。
信用はしていたが、心臓に悪い。
セントラム
「これならば、どうだ!」
雷迅のセントラムが高速移動をしながら、次々と雷撃を放つ。
しかし、岩の腕がいくつもはえて、雷撃を防いでいく。
セントラム
「遠距離からでは無理か。
ならば、、、
私の最大火力、最高速度の技を見せてやろう。」
・・・そんなの見せなくていいよ。
心の声が漏れそうになるアーサー。
ハナ
『・・・無意味。』
セントラム
「ほざくな!」
雷迅のセントラムの全身が激しくスパークする。
そして、急加速。
先ほどとは比べものにならないスピード。
岩の腕がいくつもはえてくるが、圧倒的なスピードで置き去りにしてしまう。
しかし、ハナに接近すればするほど、岩の腕の数もスピードも増えてくる。
だが、
セントラム
「遅いわ!!」
岩の腕たちが取り囲む。
雷迅のセントラムが更に加速する。
ズドーン、ズドーン、ズドーン、ズドーン
セントラム
「私の勝ちだ!」
岩の腕を振り切った雷迅のセントラム。
勝利を確信した。
しかし!
砕けた岩の腕から無数の蔦がはえてくる。
蔦から逃れようと足掻くセントラム。
しかし、蔦は岩の腕より格段に速い。
更に多い。
蔦がセントラムを捉える。
セントラム
「ぐっ、くそっ、が、」
蔦を切っても切っても増えてセントラムを包み、締め上げていく。
そして大木が完成した。
その時にはセントラムは跡形もなく消えていた。
ハナ
『・・・草の方が得意だから。』
アーサー
「大樹の上に旗を掲げよ。
戦場すべてから見えるようにしろ!」
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