旅立つ勇者
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今回はマサキ視点です。
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時間を少し遡る。
マサキはヒルギスに定住していた。
マイは無事、女の子を出産した。
名前はマリア。
まだまだ小さいがかわいい愛娘だ。
マサキは、
毎日ダンジョンに入り、
夕方には出てきて、
モンスターの素材を換金する。
単調だが、充実した毎日だ。
マサキは強い。
ダンジョンに入る者にとって、強いは稼げると同義語だ。
普通はパーティーでダンジョンに入るが、マサキについていける冒険者など早々いない。
強いマサキに目をつけて、パーティーの誘いはいくつもあったが、すべて断っている。
マサキは常に単独でダンジョンに入っている。
毎日、1人でダンジョンに入り、強いモンスターを倒して稼いでいくマサキは、冒険者の間で有名になっていた。
誰ともパーティーを組まない謎の冒険者。
それがマサキの評価だった。
そんなある日。
家を訪ねてくる者がいた。
男
「失礼します。
マサキ様でいらっしゃいますか?」
マサキ
「何者だ?」
明らかに冒険者ではない。
不審な訪問者に警戒感を示す。
男
「失礼致しました。
私、新生ドバン王国のガロンと申します。
ドバン帝国時代には一度お会いしておりました。」
マサキ
「すまない。
あの頃は色々な人に会っていて、あまり覚えていないんだ。」
ガロン
「無理もございません。
勇者様に会おうとする者は沢山おりましたから。」
マサキ
「俺は今、静かな生活を送っているんだ。
出来れば、帰って頂きたいんだが。」
ガロン
「心中はお察し致します。
ですが、マサキ様やご家族の平穏を守る為にも大切な話なのです。
話だけでも聞いて頂けませんか。」
マサキ
「あなたが俺に何も関わらずに帰ってくれるのが一番平穏だと思うよ。」
ガロン
「今はそうでしょう。
ですが、
長い目で見れば、話を聞いて頂いた方が良いかと思います。
なにせセントラル大陸全体に関わる問題ですので。」
マサキ
「大陸全体?」
ガロン
「魔王が攻めてきました。
このフラメルでも冒険者を雇って出兵しているはずです。」
確かに冒険者も集められていた。
割は良い仕事だったが長期間ヒルギスを離れることになるため、参加を見送った記憶がある。
マサキ
「出兵はしていたが、魔王とは言ってなかったぞ。」
ガロン
「魔王と戦うと言えば人が集まらないからでしょう。
魔王との戦いに勇者様の力をお借りしたいのです。」
マサキ
「でも、俺は魔族に負けた。
今更、参戦したところで皆の期待には応えられないよ。」
ガロン
「ですが、狂嵐のボウザーには勝ちました。
そして、その時よりも強くなられているのでしょ。
人類の未来のために、
幼い子供のために、
その力を貸してくださいませんか。」
マサキ
「・・・」
ガロン
「この戦いで連合軍が敗れれば、もはやセントラル大陸は魔王に支配されてしまいます。
あなたは勇者なのです。
人類の希望です。
魔族の幹部を倒した英雄なんです。
人類の未来をお救いください。」
ちらりとマイを見る。
眠るマリアを抱いて、心配そうにこちらを見つめている。
マリアの未来、、、
おそらく、連合軍が敗れれば、俺がどれだけ頑張っても魔王のもとに到達することすら出来ないだろう。
マサキ
「わかりました。」
マイ
「マサキ!?」
マサキ
「ごめん。
でも、行かなくちゃいけないんだ。」
マイ
「マサキ1人行っても変わらないよ。」
マサキ
「確かに俺1人で出来ることは少ないかもしれない。
でも、マリアの未来を守りたいんだ。」
ガロン
「閃光の勇者マサキ様の参戦は皆の希望になります。
1人で出来ることは少なくても、そこに勇者がいるという事実が皆に力を与えるのです。」
マイ
「生きて帰ってきてくれる?」
マサキ
「もちろんだ。
2人を残して死ぬもんか。」
ガロン
「あまり時間がございません。
本日中に出発したいのですが可能ですか?」
マサキ
「わかった。
俺が留守の間、妻と娘の生活は保障してもらえるのか?」
ガロン
「もちろんです。
新生ドバン王国が責任を持って面倒をみます。」
マサキ
「すまない。
では、急いで用意してくる。」
マサキはマジックバックに必要な物を入れていく。
旅慣れている。
すぐに用意は終わる。
ガロン
「行きましょう。」
マイ
「気をつけて。」
マサキ
「あぁ、
ちょっと世界を救ってくるよ。」
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