フラグブレイカー

ヒナタ

「私の元いた世界にはね、

これをすると次のイベントで死んじゃうっていう行為があってね。」


ディーン

「やると死んじゃう行為?」


「フラグって僕らは呼んでいるんだけど。」


ディーン

「もしかして、、、私がその『フラグ』に抵触してしまったのか?」


うなずく僕とヒナタさん。


ディーン

「ありがとう。

ヒナタさんの心配してくれる気持ちが嬉しいよ。」


僕も心配したんだけどな~。

もちろん、そんな野暮なことは言わないけど。


ディーン

「それで、何がフラグに抵触したのかな?」


ヒナタ

「『戻ったら大事な話がある』っていう発言と、『形見の指輪を預ける』って行為がフラグになるの。」


ディーン

「えっ!?

そういうことがフラグになるのかい?」


ヒナタ

「うん。」


頷くヒナタさん。


ディーン

「弱ったな~。」


頭をかくディーンさん。


「フラグをへし折るしかないよ。」


ディーン

「フラグをへし折るって、具体的には何をするんだい?」


「大切な話を今日してしまって、指輪も預けず、自分で持っておく。

そんな感じかな。」


ディーン

「えっ!?

それは、、、

ヒナタさんもその方がいいのかな?」


ヒナタ

「私は、、、

ディーンさんにフラグを何本も立てた状態で戦場に行ってほしくないです。」


ディーン

「わかったよ。

私としてもヒナタさんを不安にさせたまま出発したくはないからね。

・・・じゃあ、ヒナタさん。

聞いてくれるかい?」


ヒナタ

「はい。」


ディーン

「ヒナタさん、

必ず幸せにします。

私と結婚して欲しい。」


ヒナタ

「宜しくお願いします。」


目の前でプロポーズだよ。


ディーン

「帰ったら、結婚式をしよう。」


「だぁ~~!

それもフラグだよ!

ダメだよ、余計なことを言ったら。」


ディーン

「なっ!?

これもダメなのか?」


ヒナタ

「戦いに行く前にプロポーズとか結婚式とかの話をするのはだいたい死亡フラグなんです。」


ディーン

「難しいな。。。

どうすればいいんだ?」


「ここまできたら、結婚パーティーしちゃいましょう。

場所と料理とお酒は僕が用意します。

2人は呼べるだけ呼んじゃってください。」


ヒナタ

「いいんですか!?」


「大丈夫!

ここまできたら、勢いです!」


そう言ってヒナタさんとディーンさんを送り出した。


僕は店に戻って、みんなに事情説明。

料理やお酒はマジックバックにあるストックを使おう。

ヒナタさんはコーラル商会のみんな、ディーンさんは騎士団のみんなに声をかけに行った。




先にやって来たのはディーンさん。

ついさっきまで一緒に飲んでいたメンバーがほとんどかな。飲み場所を変えるだけだから早い。


トンプソン

「まさか満腹亭で飲めるとは。

理由はよくわからなかったが、ただただありがたいな。」


続いてコーラル商会のみんなも続々と到着。


マヘリア

「やっほー、

ミライはトマーシュに預けて来ちゃった。」


ガロッソ

「今日プロポーズして、今日結婚パーティーか。まぁ、明日から長期遠征なら仕方ないだろ。」


店内はけっこうな人の数になった。



「じゃあ、

ディーンさん、

挨拶お願いします。」


ディーンさんが用意した木箱の上に立つ。


ディーン

「皆さん、

急に呼び出してすいません。

また、その急な呼び出しに応じて頂き、誠に有難うございます。」


一礼するディーンさん。


ディーン

「今日、私はヒナタさんと結婚することになりました。

まだまだ未熟な2人ですが、今後とも宜しくお願い致します。」


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


ディーン

「明日から遠征に出るので、長時間は飲めませんが、皆さんと一緒に楽しい時間が過ごせたら幸いです。

それでは、グラスを持ってください。

・・・

乾杯!!」


そこからはただただ宴会でした。

騎士団のメンバーは途中で帰らせたけどね。

それでも翌日はキツかったらしいです。

何人か遅刻者が出て騎士団団長のヒースさんにこっぴどく叱られたらしいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る