フラグメーカー
そんな話をしていると、
珍しい訪問者が来た。
ヒナタ
「夜分にすいません。
アキラさん、ちょっとだけいいですか?」
僕と同じ異世界人で、今はコーラル商会で働いているヒナタさん。
うちの従業員とは仲が良いから、時々遊んだりしているみたいだけど、僕を訪ねてくるのはちょっと珍しいかな。
僕
「どうぞ~。」
ヒナタさんをリビングに招き入れた。
僕
「どうしたんですか?」
ヒナタ
「すいません。
ご相談したいことがあって。
たぶん、理解してくれるのはアキラさんぐらいしかいないので、、、」
僕
「ん?
僕だけ?
とりあえず、話を聞きますよ。」
ヒナタ
「実は、ディーンさんから、
『明日、大きな戦争に出発する。
帰って来たら大事な話があるから、
聞いて欲しい。』
って言われたんです。」
マユラ
「それって絶対プロポーズじゃん!」
ヒナタ
「しかも、形見の指輪を預かって欲しいとも、言われたんです。」
アリエッタ
「確定じゃん!
ディーンさん、いい人だし良かったね。」
うちの女性陣は嬉しそうに聞いている。
でも、ヒナタさんの表情は暗い。
カミラ
「ディーンさんとの結婚は嫌なんですか?」
ヒナタ
「全然嫌じゃないです。
は~、
この話を聞いたら、そういう反応になりますよね。
でも、フラグが、、、」
僕
「あっ!?
確かに、、、」
ルーシュ
「フラグとはなんですか?」
僕
「説明が難しいな~。
前の世界のジンクスみたいなものかな。
今のヒナタさんの話、
前の世界だと、死亡フラグって言って、それをやると死んじゃうって言われている行為の代表格なんだよ。」
ヒナタ
「そうなんです!
死亡フラグ乱立なんです!
でも、この世界の人には説明が難しいし、説明しても理解をしてもらえなくて。」
僕
「なるほど。
だから僕か。
そう言えばマヒルさんは護衛の仕事で街にいないもんね。」
ヒナタ
「そうです。
どうしたらいいですか?」
僕
「フラグをへし折ろう!」
ヒナタ
「えっ?」
僕
「フラグになるようなことをすべて回避しよう。」
ヒナタ
「そんなこと出来るんですか?」
僕
「今から行って、プロポーズ終わらせて、形見の指輪も返す。
僕も説明を手伝います。」
ヒナタ
「で、でも、押し掛けて、強引にプロポーズさせて、預かった指輪を返すなんて無茶苦茶じゃないですか。
大丈夫でしょうか?」
僕
「無茶苦茶でも死亡フラグを立てたまま戦争に送り出すよりも断然マシでしょ。」
ヒナタ
「わかりました。
無理を言ってすいません。
協力お願いします。」
僕
「僕もディーンさんにはお世話になっているんで気にしないでください。
善は急げです。
行きましょう。」
僕とヒナタさんで満腹亭を出て騎士団の宿舎を目指した。
騎士団の宿舎に到着して、ディーンさんへの面会をお願いすると、ディーンさんが仲間たちと近くの店で飲んでいると教えてもらった。
そのお店に行くと、騎士たちがわいわいと楽しそうに飲んでいた。
トンプソン
「おや、珍しい。
アキラ殿、どうされましたか?」
僕
「あっ、トンプソンさん。
お久しぶりです。
ちょっとディーンさんに用事があって。」
トンプソンさんは僕がヒルギスでスカウトした騎士だ。
ディーン
「やぁ、アキラ君。
どうしたんだい?」
僕
「僕、と言うかヒナタさんなんですけど。
ちょっと話を聞いてもらってもいいですか?」
ディーン
「もちろん、大丈夫だよ。
悪いけど、少し離席する。
私のことは気にせず、飲んでいてくれ。」
トンプソン
「あぁ、問題ない。」
ディーンさんはいくらかのお金をトンプソンさんに渡して、僕たちはお店を離れた。
お店を離れ、静かな路地に出た。
ディーン
「で、どうしたんだい?」
僕たち2人を見るディーンさん。
ヒナタ
「えっと、、、相談したいことがあって。」
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