エドワルドの決断

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今回はエドワルド視点です。

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時間を少し遡る。

リズムリア王国の国王、エドワルドのもとに厄介な知らせが舞い込んだ。


ドバン帝国と新生ドバン王国。

2つの国から魔王が大軍を引き連れて進攻を開始した、援軍を出してほしいとの連絡だ。


通常の援軍要請は正式な使者を出すのが当たり前だが、鳥便で簡素な内容が伝えられた。

その時点でどれだけ緊急の案件かがわかる。


エドワルドは至急、信頼できる側近たちを集めて会議を開いた。


側近

「この情報は事実なのでしょうか?」


エドワルド

「おそらく間違いないだろう。

少なくとも、ドバン両国は魔王が攻めてくると信じている。」


側近

「我が国は両国の停戦調停を取りまとめた立場です。両国からの要請を無視は出来ないでしょう。」


側近

「我が国は世界に対してリーダーシップを取る立場にございます。

もし援軍を出さねば各国から非難されます。」


側近

「だが、兵を出すには金がいる。」



エドワルドはそんな側近たちのやり取りを聞きながら悩んでいた。

兵は出す。

それは決めている。

リズムリア王国が援軍を出すことを各国に知らせれば、援軍の呼び水となる。

そうなれば勝てる可能性も高まる。


後は、

誰が参加し、

どの程度の規模を用意するか、だ。


リズムリア王国はセントラル大陸東部の国だ。なので、西部の戦いに参加するには急ぎ兵をまとめて、出発させないと間に合わない。



オチョロイ

「陛下、私に考えがございます。」


エドワルド

「申してみよ。」


オチョロイ

「第2騎士団、ほぼ全軍。

それとパエルモ卿を中心とする西部貴族の私兵、こちらも可能な限りかき集めます。

兵糧は幸いにもバレティアに潤沢にございます。

これが最速で、最大の戦力を動かす方法でございます。」


以前パエルモ卿から高い値段で買わされた食糧がバレティアにはある。兵糧の問題は偶然ではあるが、気にしなくていい。


エドワルド

「兵糧の件はわかっている。

だが、第2騎士団と西部貴族を丸々出撃させれば影響が大き過ぎるのではないか。」


オチョロイ

「問題ございません。

留守は第1騎士団中心に駐留させればいいのです。

セージは当然出撃させますし、貴族をまとめる為にはパエルモ卿本人も出るでしょう。

両者の数ヶ月の不在。

我々の思い通りに出来るなら、今後を考えれば十分メリットはあるかと。」


エドワルド

「だが、戦いに勝てばセージもパエルモも戻ってくる。そこで軋轢が生じるのではないか?」


オチョロイ

「やりようはいくらでもございます。

セージには十分な爵位を与えて動かせば問題ございません。パエルモ卿については不在の間に子どもたちに揺さぶりをかけれはボロが出るでしょう。

その責任を問えばよいのです。」


側近

「さすがにそれは貴族たちの反感を買います。魔王との戦いに命がけで挑んだ者に対する処置として不適切です。」


オチョロイ

「南部貴族やベルフォーム卿に多少の利益を与えれば黙るでしょう。」


側近

「しかし!」


エドワルド

「もう良い。

セージ団長とパエルモ卿を中心とした貴族たちに至急、軍を編成するように伝えよ。

最大限の兵力を集めさせろ。

総大将はアーサーだ。

すぐに連絡を入れよ。」


オチョロイ

「有り難き幸せ。」


エドワルド

「オチョロイ、

お前の策に乗った訳ではない。

最速で、最大の戦力を動かす為の最善策を講じたに過ぎない。

いいな。」


オチョロイ

「御意にございます。」



エドワルドはオチョロイの策を否定した訳ではない。場合によっては採用しようとも考えている。

状況を見ながら慎重に対応する必要がある。

下手をすれば、セージ、パエルモ、アーサーと対立することになる。


普通に考えれば魔王軍との全面戦争、数ヶ月にわたる遠征で疲れはてた相手との戦いに負けるはずはない。


だが、相手は強い。

しかも他の貴族の反感も買いたくはない。


準備は慎重に、

動く時は大胆に。。。

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