名前を考えよう

満腹亭の女性たちが順番に赤ちゃんを抱っこしていく。

みんな、まだ慣れないから、恐る恐る抱っこしている感じ。


助産師

「今、アイラさんは出産を終えたばかりでお疲れです。休ませてあげてください。

私もそろそろ帰りますね。

それと、状態が落ち着くまで母子ともに周囲の方々も気をつけ見てあげてください。」


僕ら

「「「ありがとうございました。」」」


助産師さんが帰っていった。


「アイラさん、お疲れさまでした。

これ、疲労回復効果のある特製スープ。

少し飲んで、休んでて。」


アイラ

「ありがとう。」


マユラ

「じゃあ、みんな、部屋を出ましょうか。

こんなに大勢いたら眠れないもんね。」


アイラ

「マユラ、それにみんなもありがとう。」


マユラ

「部屋のドアは開けておくね。

時々様子を見に来るから、何かあったらなんでも言って。

遠慮はなしだよ。」


アイラ

「すまない。

ありがとう。」


そうして、僕らはアイラさんと赤ちゃんを残して1階に降りた。




「みんな、ありがとう。」


アリエッタ

「アキラ君もお疲れさま。

パエルモ伯爵がいらっしゃったみたいだけど、大丈夫なの?」


「話は済んだから大丈夫だよ。

ただ、もう少ししたら泊まり掛けで出かける事態になりそうだから、また準備しないといけないかな。」


ルーシュ

「準備があればお手伝い致しますので、なんなりとお申し付けください。」


「ありがとう。」


フィオ

「可愛い赤ちゃんでしたね。

お名前はもうお考えですか?」


「実は悩んでて。

名前は一生モノだから、じっくり考えないと。」


マユラ

「でも考え過ぎて、1歳になっても名無しなんてダメよ。」


「大丈夫だって。

ちゃんと、明日にはアイラさんと話をするよ。」


この世界では産まれるまで性別はわからない。だから、男女両方の名前を考えてました。いっぱい候補を考え過ぎて、全然まとまらなかったんだよね。


顔を見たらビビっとくるかと思ったけど、まだ迷っている。

もちろん、母親であるアイラの賛成も得ないといけないから、僕が勝手につける訳にはいかない。



まずは、

こちらの世界風か、元の世界風か。


実はこれ、そんなに大きな問題ではない。

この世界では、過去にもたくさんの異世界人が来て活躍し、子孫も残している。

そのため、元の世界風の名前でも違和感がない。異世界人の子孫や、活躍した異世界人の名前をマネたり、色々なパターンで元の世界風の名前が使われている。


それと、姓名判断のようなものも一般的にはない。基本的に一部の貴族などを除けば名字もない。僕もこの世界では『アキラ』と呼ばれる。名字の『馬場』を名乗ることはほぼない。




結局、みんな好き勝手に名前を言いあいながら、その日は解散となった。


そして、翌朝。

アイラさんの部屋を訪ねた。


アイラさんはベッドに座って、赤ちゃんにおっぱいをあげていた。

赤ちゃんも一心不乱に飲んでいる感じ。


邪魔をしたら悪いから、少し静かに待つ。


おっぱいを終えて、背中をトントン。

ゲップをさせるらしい。

それが終わると、


アイラ

「抱っこして寝かしつけてみるか?」


「うん。」


ミルクを終えた赤ちゃんを抱っこして、眠るのを待つ。


コポッ


赤ちゃんの口からミルクがこぼれた。


「ど、どうしよう?」


アイラ

「落ち着くんだ。

ゲップが足りなかったんだろう。」


そう言いながら、アイラさんは赤ちゃんの口の周りを拭いて、僕から赤ちゃんを受け取った。

たて向きに抱っこして、もう一度背中をトントン。

なかなかゲップは出ない。


アイラ

「さっきので終わりだったのか?」


アイラさんもまだ慣れてないから、手探りで頑張っている感じかな。


「体調はどう?」


アイラ

「母子ともに元気だ。

あの疲労回復スープ。

やはり効果が異常だな。

飲んだ瞬間に体の疲れが消え去ったよ。」


「まだまだ授乳の間隔が短くてゆっくり休めないだろうから、無理しないでね。」


アイラ

「マユラたち、みんなが手伝ってくれている。他のママよりも楽をさせてもらっているよ。」

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