王妃バーバラ

アーサー

「しかし、愚かなことをしてくれる。」


「僕はどうしたらいいんですか?」


ペネロペ

「徹底的にゲレーロを叩きのめせばいいと思いますよ。」


僕は小声でアーサーさんに、


「ペネロペ様ってバーバラ様のことが嫌いなの?」


アーサー

「あぁ、そうだ。」


ペネロペ

「そんなことはございませんわ。

義理の御姉様ですよ。

嫌いな訳ないじゃないですか。

ただ、ちょっと殺したいってだけですわ。」


ペネロペ様、

ニコニコしているのが余計に恐いよ。


「何かあったの?」


アーサー

「わかりやすく嫌がらせをしてきたんだよ。

ペネロペにな。

立場上、バーバラ様の方が上だから、こちらは我慢するしかなかったんだ。」


「ひどいね。」


僕はそういういじめとかは大嫌いです。

なんと言ってもされる側の人間ですから。


ペネロペ

「嫉妬の塊のような方ですわ。」


アーサー

「自分よりも、美人で、人気もあるペネロペに嫉妬しているんだろ。」


何?

のろけを入れてきた?

油断出来ないね。


ペネロペ

「アキラ様相手に決闘を申し込むような愚かさは、バーバラ様にお似合いですわ。」


「僕が勝ってもいいんだよね?」


ペネロペ

「もちろんです。

完膚なきまで叩きのめしてください。」


僕はチラッとアーサーさんを見る。


アーサー

「もちろん勝ってかまわない。

負ければ増長するだけだ。」


「わかりました。

勝ちますね。

で、この後、

どういう流れになるんですか?」


アーサー

「不服申し立ての期間が終了すると、立会人であるバーバラ様に召集される。

そこで、決闘のルールを確認する。

戦闘のやり方と、勝った場合の報酬だな。」


ペネロペ

「おそらく、アキラ様にとって不利な条件を出してくると思います。

言うべきことは言わないとダメですよ。」


「どんなことを言ってきそうかな?」


アーサー

「決闘は観衆の前で行われる。

だから、そこは、見た目上はフェアにしてくるだろうな。」


ペネロペ

「おそらく、報酬で不利益な内容にしてくると思います。

勝者にはカミラさんを与える、みたいな内容の可能性が高いです。

でも、これはアキラ様には現状維持でしかありませんからね。

ちゃんと罰ゲームを用意しないと。」


「罰ゲームですか。」


ペネロペ

「そう、

例えば、はだか踊りをしながら王都を一週するとか。」


うわぁ~、わかりやすい罰ゲーム。

貴族にとっては一生の恥だろうね。

たぶん、再起不能になるレベルだと思う。


アーサー

「さすがにそれは、、、」


ペネロペ

「盛り上がるでしょ。」


ゲレーロがかわいそうになってくる。


「でも、僕もはだか踊りは嫌ですよ。」


アーサー

「お前に勝てる力をゲレーロが持っていたら、既にクーデターを起こしているよ。」


まぁ、今の僕は強いからね。


「そんなもんかな~?」


ペネロペ

「頑張ってくださいね、アキラ様。」


やっぱり、ペネロペ様の目が恐い。

これは絶対負けられないね。


僕はアーサーさんたちと別れて、満腹亭に帰った。




数日後、

バーバラ様から呼び出しがあった。

呼び出された日に王宮を訪ねると、

バーバラ様、

オチョロイ伯爵、

ゲレーロ、が待っていた。


バーバラ様は40歳ぐらいかな。

美人の部類に入るとは思います。

でも、性格の悪さがにじみ出ている。

目つきが悪い。


バーバラ

「遅いぞ。」


「申し訳ございません。」


指定時刻通りなんだけどな~。

なんか睨まれてるし。


僕が座ると、


バーバラ

「不服申し立て期間に双方から異議が出なかったため、私が立会人を務めることになった。

今後、私の指示のもと決闘を執り行う。

決闘は両者のプライドを賭けた戦いである。悔いの無いように全力を尽くしてもらいたい。」


ゲレーロ

「決闘の立会人を高名なバーバラ様に務めて頂けるのは、この上ない喜びでございます。」


仰々しく礼をするゲレーロ。

まるで舞台を見ているかのように演技っぽい立ち居振舞いだね。

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