立会人

2週間後。

使者が来た。

立会人からの使者だ。


使者

「アキラ殿、

ゲレーロ殿とアキラ殿の決闘の立会人をバーバラ様が務めることになりました。

不服があれば1週間以内に申し立てをしてください。」


「わかりました。」


一方的に宣言して、使者は帰っていった。


「・・・で、バーバラ様って誰?」


カミラ

「王妃様です!

エドワルド陛下の正室です!

超大物が出てきましたね。」


王族か~。

しかも王妃。

ペネロペ様より格上ってことだよね。


「これって、絶対に不服申し立てなんて出来ないやつだよね。」


ルーシュ

「エドワルド陛下を立会人に推薦でもしない限り、不服申し立ては無理ですね。」


「だよね~。

とりあえず、パエルモ伯爵に報告してくるよ。」


カミラ

「それがよろしいかと。

想定以上の大物が出てきました。

今後の対応を相談するべきです。」


「わかった。

じゃあ、行ってくるね。」






パエルモ伯爵邸にて。


パエルモ

「厄介な相手が出てきたな。」


「厄介なんですか?」


パエルモ

「厄介だ。

ある意味、国王陛下よりも厄介だ。」


「どうしてなんですか?」


パエルモ

「まず、アキラ。

お前は嫌われている。

国王陛下は表面上、アーサー殿下とペネロペ様と友好な関係を演じるが、バーバラ様は敵対心を隠さない。

元々、目立ちたい、ちやほやされたいという性格で、第一王子だったエドワルド陛下と結婚された時はご機嫌だったんだがな。

今ではアーサー殿下の活躍や、ペネロペ様の人気の高さに嫉妬しているようだ。

しかも、政治的なバランス感覚もない。

エドワルド陛下は、好き嫌いよりも政治を一番に考えることが出来るんだが、バーバラ様にそれは期待出来ない。」


「じゃあ、僕がアーサーさんやペネロペ様と仲が良いから、ゲレーロに肩入れしているってこと?」


パエルモ

「は~、

勝っても、負けても、厄介なことにしかならんな。」


「どういうことですか?」


パエルモ

「今回の1件、バーバラ様が出てきたことで王族をイメージさせる事態となった。

おそらく、エドワルド陛下とアーサー殿下の代理戦争のように言う貴族も出てくるだろう。両者の対立を煽るのは得策ではないんだがな。」


「どうしたらいいんですか?」


パエルモ

「今さらどうしようもない。

アキラは気にせず勝てばいい。

ただ、一番影響が出るのはアーサー殿下とペネロペ様だ。

一声かけておいた方がいいだろうな。」


「わかりました。

明日にでも顔を出してきます。」


パエルモ

「は~、

気をつけろよ。

普通は今日、ここにいて、

明日、王宮に顔を出すなんてことはあり得ないからな。

他の知らない人がいる時には言うなよ。」


「大丈夫です。

僕は人見知りなんで、知らない人がいたら、あんまりしゃべれませんから。」


パエルモ

「は~~~、

わかった。

また、何かあったらいつでも相談に来なさい。」


「ありがとうございます。」


うん、呆れてたのは感じてるけど、本当のことなので。


僕はパエルモ伯爵邸を出た。





そして、翌日。


「こんにちは。

今、ちょっとだけいいですか?」


アーサー

「かまわんが、

それは部屋に入ってから言うセリフではないな。」


ここは王宮にあるアーサーさんの私室。

アーサーさんとペネロペ様、それに使用人が2人いた。


「すいません。

でも、今はこっそり来た方が良さそうな感じなので。」


アーサー

「決闘の件か?」


「はい。

ちょっと厄介なことになってきたんです。」


アーサー

「どうしたんだ?」


「立会人がバーバラ様になりました。」


アーサー

「なっ!?

信じられんな。

バーバラ様は何を考えているんだ。

王族が決闘の立会人になるなど聞いたことがない。」


ペネロペ

「フフフ、

バーバラ様らしい個性的な御判断ですね。」


ん?

バーバラ様の名前を出した瞬間にペネロペ様の雰囲気が変わった気がする。

気のせいじゃないよね。

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