発明家の真価

ダンジョン内ではいつものレベル上げです。

高速移動でどんどん降りて、格上モンスターにトドメを刺させて効率的にレベルを上げる。

マッソンさんには戦闘技術の向上は求めていない。純粋にレベルを上げることだけに集中している。


武器は銃。

防具はなし。

その代わり僕の結界で覆っている。


発明家は器用さ特化の非戦闘職だ。

銃との相性は良い。

まぁ、瀕死で麻痺状態のモンスターを撃つだけだから、相性も関係無いんだけどね。




そんなこんなで5日目。

マッソンさんの見た目はかなり健康的になった。

お酒を抜いて、しっかり食事を食べる。

体もきれいに洗わせた。

単純作業とは言え、モンスターとも戦った。

最初に会った時とは見違えるよ。


そして、


マッソン

「やったぞ。

ついにレベル100だ!」


「おめでとうございます。

じゃあ、ダンジョンを出ましょうか。」


ダンジョンを脱出して、ハイムのマッソンさんの家までは飛んで行く。


マッソン

「瞬間移動したり、空を飛んだり。

発明品なんて不要じゃないか?」


「そうでもないですよ。

やっぱり役に立つ道具は必要です。」


マッソン

「そんなもんか?」


納得してない顔だね。

なんでも解決出来るほど魔法って万能じゃないよ。



そして、


マッソン

「凄いな!

上空から見るハイムはこんな感じなのか!」


「さてと、

着陸前に1つやることがあるんだよね。」


マッソン

「ん?

なんだ?」


「マッソンさんのスキルを僕に譲ってください。」


マッソン

「ハハハ、スキルを譲る?

何を言ってるんだ。

そんなこと出来るわけ、、、

出来るのか?」


「出来るよ。」


マッソン

「ま、待ってくれ!

あんまりだ!

ようやく努力して沢山のスキルを手に入れたんだぞ。」


「あのさ、

動かないモンスターに引き金を引くだけを世間じゃ努力なんて言わないよ。」


マッソン

「発明は俺の大事なスキルなんだ!

頼む!

奪わないでくれ!」


「大事なスキルって、全然使ってなかったじゃん。

それにさ、レベルはそのままなんだよ。

ステータスはかなり上がったよね。

感謝されることはあっても、恨まれる筋合いはないよ。」


マッソン

「あんまりだ、、、

俺は発明家なんだぞ、、、

スキルがなければ、役立たずじゃないか。」


「スキルを持ってても使ってなかったでしょ。僕と出会う前と実質同じでしょ。

いや、ステータスアップにお酒にお金。

プラスの方が圧倒的に多いと思うけどな。」


マッソン

「むちゃくちゃだ!」


「議論するつもりはないよ。

僕の言うことには従うという契約だからね。

じゃあ、スキルを頂くね。」


マッソンさんから光の玉が浮き出て、僕の中に入っていく。


マッソン

「あ、、あ、、あ、、、」


マッソンさんから声にならない声が漏れる。


「じゃあね。」


僕はワインとお酒をマジックバックから取り出す。そして、マッソンさんから奴隷の腕輪を外す。


マッソンさんと僕の結界を切り離す。

マッソンさんだけがゆっくりと降りていく。


マッソン

「くそっ!

くそぉぉぉ!!」


叫んでも何も変わらないけどね。

マッソンさんが着陸したのを見届けて僕はリターンポイントでパエルモに帰った。


レベル100の発明家は凄いね。

もはや、発明家という言葉が適切かどうかあやしいぐらい。

錬金術師って言った方が適切かもしれない。


初期の発明家は、

『発明に必要な素材と加工方法がわかる』

という内容だった。


しかし、レベル100になると、

『必要な素材を集めてスキルを使えば一瞬で完成する』

しかも素材も代替が効いたり、その素材を作る為の素材なんかもわかる。

かなり発明のハードルが低い。

しかも、僕は素材を山のように持っている。


これは凄いかもしれない。

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