ハイムの発明家

翌朝。

僕はアイコさんにカレー粉を渡して、ダンジョンマップで転移した。


次の目的地はハンドル群島のハイムという島だ。ハンドル群島のどこにあるか知らないけどね。


まずはダンジョンのある国、パウロで情報収集だ。

ガウル王に聞きに行ったら、戦闘を強要されそうだし。狙うはテッドさんだ。

パウロの常識人だ。

イメージは獣人のトマーシュさん。


トマーシュさんはちゃんと結婚して、お子さんまでいるけどさ。

義理の父がパワフルなところも似ているかもね。


パウロの王宮、テッドさんのところを訪問する。


「こんにちは。

お久しぶりです。」


テッド

「あっ、お久しぶりです。

今日はどうしたんですか?」


「ハイムって島のことを教えて欲しいんですけど、ご存知ですか?」


テッド

「もちろん知ってるよ。

ハンドル群島の島だからね。」


「どこにあるんですか?」


テッド

「ちょっと待ってね。」


テッドさんが地図を用意してくれる。


テッド

「ここが今いるパウロね。

そして、こっちがディアゴだね。」


ディアゴはパウロやサンディと並ぶ、ハンドル群島の三大巨島の1つだ。

ディアゴはハンドル群島で最も大きな島であり、農業の中心地のような場所だ。


テッド

「テッドから南西方向に進んだところにあるのがハイムだね。

正直、あまり特徴のある島ではないね。

三大巨島を結ぶ航路に入らない島なんだよ。

だから、他の島との交流はあまりないようだよ。唯一ディアゴとは往き来しているようだけど、細かいことは私にはわからないな。」


「十分ですよ。

場所さえわかれば行けますし。」


テッド

「あまり島外と交流のない排他的な島だから、島民との接し方には気をつけた方がいいよ。」


「わかりました。

ありがとうございます。」


場所もわかったし、後は行くだけ。

テッドさんに別れを告げて、ハイムに向けて出発です。



アリエッタ

「で、私なの?」


「ごめんね。

でも、閉鎖的だって言うし、

名前もわかんない人を探すんだよ。

僕には無理だよ。」


今回、パウロから直接ハイムに向かわず、一旦満腹亭に戻ってアリエッタさんに来てもらいました。


アリエッタ

「じゃあ、

とりあえず発明家を探せばいいのね。」


「よろしくお願いします。」



ハイムの住人はほぼ獣人のみ。

宿も最低限の設備のものが1つだけ。

ディアゴから来た船員が泊まる時に使うらしい。その船員たちも見慣れた人たちばかりだから、知らない人がいることは異常事態らしい。


そんなところで僕が情報収集なんて出来る訳ないでしょ。

完全にアリエッタさんにお任せ。

今、語った情報もすべてアリエッタさんからです。僕はハイムに到着してから、アリエッタさん以外とまだしゃべってません。


僕はただ、宿で待ってるだけです。





夜になるとアリエッタさんが戻ってきた。


アリエッタ

「調べてきたよ。」


「どうだった?」


アリエッタ

「本人には会えてないけど、たぶんマッソンさんだと思う。郊外に1人で住んでるみたいだよ。」


「マッソンさん。」


アリエッタ

「そう。

でも評判悪いわよ。

ホラ吹きとか、

役立たずとか、

ヒドイ言われようだったよ。

大丈夫かな?」


「まぁ、どこにいるかさえわかれば、どうにかなるでしょ。」


アリエッタ

「私の役目は終了かな。

それじゃ、帰るね。」


「ありがとう。

助かったよ。」


アリエッタ

「お礼、期待しとくからね~。」


アリエッタさんの姿が消える。


転移システムを使えば、1人だけ先に帰らせることができるんだよね。


明日、マッソンさんに会いに行こう。

家電作ってくれるかな?

ホラ吹きなんて呼ばれているのは不安だけど、アイコさん曰く、今、世界にいる発明家はこのマッソンさん1人だけだからね。


協力してくれるかな?

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