お味はいかが

完成したパフェはどちらかと言えばオールドスタイル。

今どきのおしゃれパフェではなく、昔ながらの喫茶店風パフェ。

バニラアイス、コーンフレーク、イチゴソース、生クリーム、大きくカットしたフルーツたち。


うな重はパフェがあるから、少し軽めにしたけど、みんなあっという間に完食してた。


それにアイコさんはパフェを食べながら泣きだした。


アイコ

「わたしはね、、、

15歳でこの世界に来て、もう40年以上になるんだけど、、、

まさか、もう一度パフェが食べられるなんて思わなかったよ。

美味しいね~。

本当に美味しいよ。」


たぶん、アイコさんは裕福な生活を送っていると思う。でもアカツキ王国の辺境じゃあ、手に入る物に限りがある。

この世界の物流は弱いからね。


「それだけ喜んでもらえたら、作り手冥利に尽きますよ。」


アイコ

「ありがとうね。

さて、私の願いばかりを叶えてもらってちゃいけないよね。

何か占って欲しいことがあるんだろ。

言ってみな。」


「いいんですか?」


アイコ

「今は営業時間外だ。

私が誰を占おうと誰も文句は言えないはずだろ。」


「ありがとうございます。

あの、僕の占って欲しいことは、

『発明家』の職業の人がどこにいるか、

です。」


アイコ

「『発明家』。

なるほど。

確かにレアで役に立ちそうな職業だね。

ちょっと待ってなよ。」


アイコさんが目を閉じて集中する。



アイコ

「いたね。

1人ヒットしたよ。

でも、遠いよ。

ハンドル群島のハイムって島だね。」


「ハンドル群島か~。

ありがとうございます。

行ってみます。」


アイコ

「かなり遠いから、細かい情報までは見えないわね。」


「十分ですよ。

行ってみます。」


アイコ

「気をつけて行くんだよ。」


「はい。

あっ、そう言えば、

他に何か食べたいものあります?

明日の朝、出発するつもりだから、用意出来れば、明日持ってきますよ。」


別にアイコさんとはそれほど親しい訳じゃないけどさ、目の前で泣いて喜んで食べる姿を見ると、少しは力になってあげたいって思うよ。

僕が料理が好きなのも、自分が美味しい物を食べたいってだけじゃなくて、喜んで欲しいって気持ちもあるからね。


アイコ

「カレーライス!

カレーライスって出来るかい?

ここだと香辛料が手に入らなくてね。

洒落たのじゃなくて、家庭料理のカレーライスだよ。」


「う~ん、、、

肉とか野菜は手に入るの?」


アイコ

「そっちは問題ないよ。

じゃがいも、玉ねぎ、ニンジンはよく似た野菜があるよ。」


「それなら、カレー粉を用意するよ。

カレー粉さえあれば、いつでも食べられるでしょ。」


アイコ

「本当かい!?

そりゃ、嬉しいよ。

なにせ、今日は食べ過ぎたからね。

明日は食べられる自信がなかったんだよ。」


「じゃあ、明日の朝カレー粉を届けるね。」


アイコ

「楽しみにしとくよ。」


カレーライスって特別だよね。

家庭料理の代表選手だし、

家毎に違いがあって、

あの香りは反則なぐらい脳に届く。


南インド風とか、

スパイスカレーとか、

スープカレーとか、

いろんな種類があって、それぞれに美味しいけど、故郷を思い出させるのは、家庭料理のカレーだよね。


スパイスはあるから、それを宿で配合しよう。

目指すのは複雑な味じゃない。

シンプルな昔ながらの味だ。

クミン、

ターメリック、

コリアンダー、

チリペッパー、

こんなところかな。


基本だけを押さえた感じ。

後は炒める時にニンニクや生姜なんかを入れてもいいかもね。


よく、お店とかに行くと、凄い数のスパイスを配合してますって自慢しているけどさ、そんなに必要?って思う店もあるよね。

もちろん、スパイスの掛け合わせで抜群に美味しいお店もあるけど、スパイスの種類の多さがイコール美味しさではないと思う。


・・・あくまでも個人的見解ですよ。

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