メルセ工房

魔動車をマジックバックに入れて、

いざ出発。


ヒナタ

「アキラさんのスピードは凄いですね。」


マヒル

「ホント、これに慣れると馬車には戻れないよね。」


ミレイ

「護衛の心配もない。

私としては複雑なところね。」



結界内で雑談をしながら移動していく。

目的地は新生ドバン王国の王都。

郊外にメルセ工房があるらしい。

まぁ、大きな魔動車を作っているんだから街のど真ん中ってことはないよね。


マヘリア

「とりあえず街の近くに降ろしてくれる。

魔動車もそこに降ろしてくれる。」


「いいですよ。」


マヘリア

「ミレイは魔動車で待機。

ヒナタとマヒルは荷物を引き取りに来るように取引先に伝えて。

私とアキラ君でメルセ工房に行きましょ。」


3人が頷く。


僕とマヘリアさんでメルセ工房を目指す。




メルセ工房は立派な建物でした。

貴族のお屋敷みたいな感じ。


爽やかな店員

「いらっしゃいませ。

ご予約ですか?」


マヘリア

「飛び込みなんだけどいいかしら?」


爽やかな店員

「もちろんです。

本日はどのようなご用件でしょうか?」


マヘリア

「修理の依頼と新車の購入がしたいんだけど。」


爽やかな店員

「ありがとうございます。

私、ヤリスが承ります。

お名前をお教え頂けますか?」


マヘリア

「コーラル商会のマヘリアと申します。」


ヤリス

「コーラル商会様ですね、、、」


ヤリスさんが書棚から書類を引き出す。


ヤリス

「なるほど。

大型車を過去にご購入頂いておりますね。

こちらの車が故障されたのですか?」


マヘリア

「動かなくなったの。

今、この街の近くに停めてあるんだけど、どうしたらいいかしら?」


ヤリス

「では、後で停めている場所をお教えください。こちらの工場まで運びます。

それと、新車の購入を検討されているということですが車種はお決まりですか?」


「車種ってどんなのがあるんですか?」


ヤリス

「基本的には3種類です。

今、お使いの大型タイプ。

小回りの効く中型タイプ。

4人乗りの乗用車タイプ。

後はカラーリングや装飾で違いを出すことが出来ます。」


マヘリア

「大型タイプをお願い。

荷物を運ぶだけだから、装飾とかは不要よ。

今注文すればいつ頃納車されるのかしら?」


ヤリス

「そうですね~。

今、注文が増えておりまして。

3ヶ月程度はお待たせしてしまうのですが、よろしいでしょうか?」


マヘリア

「よろしいも何も、魔動車はメルセ工房さんしか製造出来ないからね。

もちろん、待たせてもらうわ。

納車の時期と方法は後で打合せさせてちょうだい。」


ヤリス

「承知しました。

お支払い方法についても後ほど確認させてください。」


「メルセ工房ってなんで魔動車が作れるんですか?

初代が『発明家』で車を作ったんですよね。なんで今も車を作れるんですか?」


ヤリス

「素晴らしいご質問です。

メルセ工房の初代であるセデス様は非常に先々を見る目がある方でした。

魔動車を発明したのではなく、

『整備可能な魔動車の製造ライン』を発明したんです。

なので、メルセ工房は魔動車を作り続けることが出来ているんです。」


「なるほど。

確かに魔動車を作っても、いずれ壊れちゃうもんね。でも『整備可能な製造ライン』を発明したから、以降、何台も作れる訳だね。」


ヤリス

「そうなんです。

今でも製造ラインをメンテナンスしながら魔動車を作っています。

そのため、製造スピードを上げることが出来ないんですよ。ライン増設には何度もチャレンジしているのですが、未だに成功していません。」


マヘリア

「製造ラインを増設すれば、生産量が倍増出来るのにね。」


ヤリス

「弊社の職人たちも製造ラインのメンテナンスは出来ても、新設は出来ないんです。

もしラインを増やせられれば、お客様をお待たせせずに済むのですが。」


それが出来りゃ、

世の中、魔動車だらけになっているよね。

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