だいたいのことはお腹いっぱい食べれば解決しそうです

カミラの日常

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今回はカミラ視点です。

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時間を少し遡る。

カミラはベルフォーム家を飛び出した。

貴族の娘としては決して褒められた行動ではない。それに、アキラ様のところに押し掛けても絶対に受け入れてくれるという確証はどこにもない。

それでも決断した。

カミラは決断力と行動力はあると自負している。

そもそもアキラ様との縁談を決めたのもカミラ本人だ。家長であるベルフォーム伯爵はカミラの結婚を諦めかけていた。

カミラがアキラ様に興味を持ったのはペネロペ様の急な来訪からだ。あの後、急激にベルフォームの商人の勢力図が変わった。

そこから、カミラは最も力を伸ばしたアキラ様が関与していると考え、調べ始めた。

そして若くて独身であるとわかった為に、その力を求めて縁談を推進した。

カミラはアキラ様のことを野心家でやり手の商人と想像していた。

しかし、実際に会ったアキラの印象は真逆だった。

無欲。

ただ、自分がやりたいと思ったことをやる。

そういう人物だった。

そして、もう1つ驚きがあった。

ベルフォーム伯爵は気付いていなかったが、ペネロペ様の護衛の兵士をしていたのがアキラ様だった。ペネロペ様、その従者、御者、それとアキラ様。たったそれだけの人数で行動していたのだ。

愛妻家で知られるアーサー殿下から、どれだけ信頼されれば、ペネロペ様を任されるのか想像も出来なかった。

結局、縁談は失敗して、単身、満腹亭に転がり込むことになった。

今になって思えば、結果オーライだ。

この満腹亭の環境は異常だ。

衣食住、すべてが異次元の快適さだ。

着ている服もとても肌触りが良い。

食事も信じられないぐらい美味しい。

働いているみなさんもとても良い人たちだ。

最初は警戒された。

当然だと思う。

特にルーシュさんの私を見る目は厳しかった。

でも、打ち解けてきた。

今ではとても仲良くなっている。

そして、みんなのレベルも異常だ。

アイラさんはスノーデン王国の武闘大会で優勝したらしい。

納得の強さだ。

でも他のメンバーも十分強い。

それに他の系列店の方たちもとても良い人たちだ。週末に集まって料理の勉強会を開いている。パエルモさん、チーランさん、テーイチさん、リョーコさん。

朝からいろんな料理を作って、互いに研鑽を積んでいる。

アキラ様は嬉々として試食をしている。

カミラも一度試食に参加したけど、凄まじかった。

見たこともない食材。

色々な調理法。

驚きの連続だった。

ちなみに、カミラが試食に参加した時のテーマが『カカオ』を使った料理。

スイーツだけではなく、料理の風味として活用していた。

ただ、量が多い。

試食するだけでお腹いっぱいになってしまう。

フロアチームは料理の勉強会の間にダンジョンに入ってレベル上げをしている。

そして、帰ってきたら、勉強会で作った試作品を食べるというスケジュールが多い。

カミラもフロアチームとしてレベル上げに参加している。

もちろん、休みの度に毎回ダンジョンに入る訳ではない。それぞれに自由時間を過ごすこともある。

趣味の絵を描いてゆったりと過ごしたり、そんな日もある。

満腹亭での生活を覚えると、もう他では生活出来ないわ。

生活の豊かさは貴族を遥かに超える。

お店の仕事は大変だけど、営業時間はそこまで長くない。なにせ、ランチのみの営業だから。営業時間前後の準備や後片付けを考えても、時間には余裕がある。

アキラ様の友人が来られて飲み会をされる時もあるし、女子会を開く時もある。

招くのはコーラル商会の女性たちが多いかな。

用意してあるお酒も一級品だし、もちろんおつまみは最高。リィズとフィオが美味しい料理を用意してくれる。

今後、子どもが産まれたり、環境は変わっていくだろうけど、心配はしていない。

アキラ様はお店のみんなの幸せを第一に考えてくれている。

過保護すぎるぐらいだ。

伯爵家を出たことになんの後悔もない。