落ち着こう
その日の夜。
みんなで夕食を食べながら。
僕
「あ~、
なんか、色々あって疲れたな~。」
アリエッタ
「貴族の令嬢が身分違いの恋のために、家を捨てて追いかけてくる。
なんか演劇みたいな話だね。」
アイラ
「単純に恋、と言うよりも、
アキラの才能を買っているという感じだな。
尊敬や畏敬の念に近い感情だろう。」
フィオ
「これからどうされるのですか?」
リィズ
「フロア担当をさせるとおっしゃっていましたけど?」
僕
「まぁ、
近くに置いて真意を見るって感じかな。
アイラさん、色々と教えてあげて。」
アイラ
「わかった。
だが、伯爵令嬢が定食屋の店員をするなど大丈夫なのか?」
僕
「本人がいいって言ってるんだからいいんじゃない?」
ルーシュ
「従業員として働かせるだけなら問題はないと思います。
それでもパエルモ伯爵にはご報告するべきかと思います。」
僕
「そうだね。
明日、パエルモ伯爵には報告してくるよ。
ドバンでの協議のことも知りたいだろうし。
その後、ベルフォームに行ってくる。
カミラさんの件を調べるのもあるし、他にもやらなきゃいけないことがあってね。」
マユラ
「やらなきゃいけないことって?」
僕
「カルマール王から新生ドバン王国でも美味しい魚料理が食べられるようにしてほしいって話があってね。
味噌漬け、ぬか漬け、オイル漬け、
そういうのを試してみようと思ってね。
ベルフォームに工場を作る予定。
試作にはリィズとフィオにも手伝ってもらいたいんだけど、大丈夫かな?」
リィズ
「もちろんです。」
フィオ
「どの程度の日持ちが目標ですか?」
僕
「冷蔵状態で1ヵ月ぐらいは食べられるようにしたいな。」
リィズ
「わかりました。
試作してみますね。」
僕
「頼むよ。」
明日からも忙しいな~。
とりあえず、午前中にパエルモ伯爵のところに行こう。
昼からはベルフォームに向けて移動かな。
翌日。
パエルモ伯爵邸を訪問。
すぐにパエルモ伯爵のところに通してくれた。
パエルモ
「お疲れさま。
和平協議は無事終わったのか?」
僕
「大変でしたよ。」
新生ドバン王国での出来事を報告した。
改めて自分でしゃべると、エドワルド王の空回りっぷりが目立つね。
正直、良いところ無し。
僕
「エドワルド王は大丈夫なのかな?」
パエルモ
「まぁ、良くはないが、、、
和平合意を『エドワルド合意』と名付けてくれたカルマール王には感謝だな。
内実はともかく、
世界的な和平合意を成立させたという実績は出来た。
ただ、本人は不本意だろう。
今後変なことをしないか不安ではあるな。」
僕
「変なことって?」
パエルモ
「陛下はプライドが高い。
弟のアーサー殿下よりも下に見られるのは耐えられないだろう。
特に今回は国外でのアーサー殿下の評価の高さを痛感したはずだ。
自分の評価をアーサー殿下よりも高くしたいとお考えだろうが、国外での評価を高めることは難しい。
陛下が焦って悪手を打たないか、それだけが不安だな。」
僕
「アーサーさんの暗殺とか?」
パエルモ
「陛下はそこまで愚かではない。
だが、
焦っていることは間違いないだろうな。」
僕
「ふ~ん。
あ、
それと、もう1つ。
まったく別件なんだけど、
報告がありまして、、、」
パエルモ
「報告?
どうしたんだ?」
僕
「えっと、
ベルフォーム伯爵の娘さんのカミラ様がうちの店で働くことになりました。」
パエルモ
「はっ?
すまんが、
もう少し順を追って説明してくれないか。
カミラと言えばアキラと縁談があったお嬢さんだな。」
僕
「僕と破談になった後、望まない縁談を進められそうになって、家を飛び出し、僕のところに来たって言ってました。
もちろん、いきなりうちに住まわせるのはちょっと不安だったんで、通いの従業員として様子を見ることにしました。」
パエルモ
「なかなか思い切ったことをするお嬢さんだな。まぁ、問題はないだろう。」
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