まだまだ来客

マサキとマイの2人は今日はパエルモに泊まって、明日出発するらしい。

馬車での旅は体への負担も大きいので、なるべく早く移動を終わらせたいらしい。


僕が手伝えば速いけど、そこまでするつもりはない。


そんな時、


女性の声

「失礼致します。」


「ん?」


店の入口に1人の女性。


「カミラ様!?

どうしてこちらに??」


カミラ

「お久しぶりです。アキラ様。」


一礼するカミラ様。

その所作も洗練されている。


カミラ

「少しだけお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」


「も、もちろんですけど。

まずはどうしてこちらにいらっしゃるのか、理由をお教え頂けませんか?」


カミラ

「もちろん、

アキラ様を追いかけてきたのです。」


「縁談はお断り致しましたが、、、」


カミラ

「あの時、アキラ様は父に強く反発され、縁談を拒否されました。

ですので、家を捨てて出て参りました。」


「えっ!?

ベルフォーム家を捨てて!?

ホントに!?」


カミラ

「父には人を見る目がないんです。

あのまま、家に残っていれば、価値のない政略結婚をさせられるのが関の山です。

それならいっそ、自分で決めてやろうと思い、アキラ様のもとにやって参りました。」


「え、あ、え、その、、、」


アイラ

「さすがにいきなり押しかけられてはアキラも迷惑だ。」


伯爵令嬢相手にもズバッと言うアイラさん。


カミラ

「申し訳ございません。

他に良い方法が浮かばず。」


ルーシュ

「アキラ様。

護衛をつけてベルフォームまで送り返すのが無難です。

カミラ様はベルフォーム伯爵のご息女。

アキラ様はパエルモ伯爵を後ろ楯にしております。

パエルモ伯爵とベルフォーム伯爵は対立とはもうしませんが、ライバル関係ではございます。カミラ様を受け入れることは背信行為になりかねません。」


ルーシュさんは貴族的な見解を教えてくれる。


カミラ

「お2人のおっしゃることはごもっともです。ですが、私は家と縁を切り、こちらに参りました。なんとか、おそばに置いて頂けませんか。」


「えっ!?

家と縁を切ったの!?」


なんか、驚いてばかりな気がする。


ルーシュ

「貴族の家において、家長が決めた縁談を正当な理由もなく断り、その上、家長と喧嘩別れした相手を追いかけるなどと言えば、絶縁されてもおかしくありません。

・・・ただし、

そう思わせる為の嘘ということもあり得ますが。」


「どうしよう、、、」


マユラ

「まぁ、アキラ君のやりたいようにやればいいんじゃない。

難しく考える必要はないんじゃない。」


それが難しいんだよね。

正直、カミラ様はきれいだよ。

でも、少しの時間しゃべっただけだし。

追いかけてくれたのなら嬉しいけど、

嘘かもしれない。


いきなり、奴隷の腕輪とかで本音を無理矢理話させるのも、なんか違う気がする。


アリエッタ

「たしかにいきなり追い返すのはちょっと可哀想な気がするよね。」


アイラ

「アキラがどのような判断しても問題ない。

万が一、裏切るようなことがあれば斬るだけだ。」


アイラさん、目が怖いよ。


「・・・決めました。

カミラ様には通いでフロア担当をしてもらいます。いきなり結婚とかは考えていません。

それが嫌なら、お帰りください。」


カミラ

「ありがとうございます!

急に押しかけたんです。

最大限のご配慮を頂けたと思っています。」


「じゃあ、どこか宿をとらないと。」


マイ

「私たちの泊まる宿、さっき行った時はまだ空室あるみたいだったよ。」


「ホント。

悪いんだけど、宿までカミラ様と一緒に行ってもらえない?」


マサキ

「かまわないよ。」


カミラ

「アキラ様、

私は家を捨てた身です。

『様』は不要です。」


「わかりました。カミラさん。

とりあえず、

今日は宿でゆっくりしてください。

明日の朝、これからのことを話しましょう。」


カミラ

「ありがとうございます。」


マサキ、マイ、カミラさんがお店を出ていった。

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