会談の終了

僕の役目は終了した。

後は会談後に指定された場所に納品するだけだ。もう気楽だね。

それと、僕のフォローをしてくれたアーサーさんにもお礼を言っとかないとね。

どうも知らない人から責められると、うまくしゃべれなくなっちゃうんだよね。




僕の商談が終わった後、

エドワルド王との交渉が再開した。

でも、それもすぐに終わった。

僕から購入したことで、食糧不足の改善に目処が立ったのだ。

わざわざ高いお金を払ってエドワルド王から購入する必要がなくなったということだ。


ただ、完全にゼロというのも良くないだろうという判断で、ほんの少しだけ、エドワルド王からも購入はしている。


ただ、エドワルド王としては大損害だった。

高いお金を払ってパエルモ伯爵から購入したが、その大半が不良在庫となってしまったのだ。


僕は小声でアーサーさんに質問した。


「国王陛下は使えなかった食糧はどうするのかな?」


アーサー

「頭の痛い問題だが、、、

おそらく兵糧として蓄えることになるだろうな。当面はバレティアの第2騎士団が使用するんじゃないか。」


「無駄になるわけじゃないんだ。

良かった。」


アーサー

「良くはない。

国としては大損害だ。

陛下のご判断だから、誰にも文句は言えん。

だからこそ、余計に厄介だな。

誰のせいにも出来ないからな。」


「まぁ、

それで国が傾くってこともないんでしょ?」


アーサー

「無論だ。

リズムリア王国の地盤はその程度では揺るがんよ。まぁ、損失は停戦合意を成功させたっていう外交成果で隠してしまうんじゃないか。」


「帰り道は気をつけてね。

陛下の機嫌は悪そうだから。」


アーサー

「は~、気が重いよ。

アキラはそのまま食糧を運ぶのか?」


「そのつもりです。」


アーサー

「自由でうらやましいよ。」




そして、夜。

晩餐会が開催された。

最初にリズムリア王国一行を歓迎するために行われた宴に似ているかな。


あの時よりも豪華だね。

いや、豪華だ、というアピールが強いって言った方が良いのかな。


出される料理には、

『新生ドバン王国は豊かだろ!』

という主張が明確に見えている。


豪華に見えることを最優先にした料理。

実際に豪華だし、

一流の食材を一流シェフが調理しているから美味しいんだけどさ。

ちょっと悪趣味かな、とは思う。


イメージとしては、

フォアグラをローストビーフで巻いて、上にキャビアとトリュフを乗せて、更に金箔をあしらうような感じ。

一言で言えばやり過ぎ。

実際にはキャビアやフォアグラはない。

ただの例えだよ。


でも、トリュフっぽいきのこはふんだんに使われてたよ。今度、どこで手に入るか調べてみようかな。手に入ったら満月亭で使ってみよう。


もちろん、

文句は言いつつしっかり食べたけどね。

美味しいんだもん。




翌日。

ついに出発です。

長かった。

リィズとフィオの料理がそろそろ食べたい。

でも、先に食糧の納品を終わらせないとね。


リズムリア王国一行とドバン帝国一行。

カルマール王がお見送りしてくれた。


カルマール

「エドワルド王、

誠に有難うございました。」


エドワルド

「新生ドバン王国とドバン帝国の平和が長く続くことを願う。

両国の関係は大陸全土に影響しますからな。」


カルマール

「もちろんです。

エドワルド合意を遵守致しますよ。」


エドワルド

「私の名前を使っているんです。

宜しく頼みますよ。」


カルマール

「承知しました。

アーサー殿も有難うございました。」


アーサー

「私はエドワルド陛下についてきただけですよ。」


カルマール

「今度は是非、気楽に遊びにいらしてください。いつでも歓迎しますよ。」


アーサー

「有難うございます。

落ち着いたら是非。」


カルマール

「アキラ殿とも一度ゆっくりと話がしたいですね。是非、お越しください。」


「有難うございます。」


エドワルド

「では、行くぞ。」


と、言いつつ、僕は別行動なんだけどね。

ようやく、新生ドバン王国での和平協議は終了した。

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