会談2日目

初日は停戦に向けて交渉することだけは合意したが、他は何も決まらなかった。


そして2日目。

朝から会談が再開。

だが、双方が自分の利権を主張するだけ。

この街は元々、誰々が支配していた。

今はどちらが実行支配している。


この川は、、、

この山は、、、

この街道は、、、


色々な場所毎に主張が対立する。


こんな場所、必要なの?

って場所まで譲らない。


退屈です。

もう不毛な言い合いが続いている。

聞いててしんどいよ。


昼になっても言い合いが続くだけ。

何も決まらないまま、ランチタイム。


この食事もしんどいんだよね。

新生ドバン王国とドバン帝国は戦争状態なのだ。

その新生ドバン王国側が用意した食事をドバン帝国側も食べるのだから、すべて毒見が入る。

時間がかかるんだよね、これ。


1品1品毒見役が食べて、毒の有無を確認してから、皇帝レズンたちが食べる。

それを延々と待たされる。


僕なんて出された瞬間に食べているけどね。




「ん?」


アーサー

「どうした?」


「毒見役が毒を入れることってあるの?」


小声で尋ねる。


アーサー

「なっ!?

本当か!?」


「そんな嘘をつきませんよ。」


アーサー

「それはそうだな。

ん、

まずい!」


皇帝レズンが毒を入れられたスープを飲もうとしている。


アーサー

「待て!」


アーサーさんの声が会場に響き渡る。


アーサー

「レズン殿!

そのスープを飲んではダメだ。

毒が入っている!」


レズン

「何!?」


ざわざわざわざわざわざわざわざわ


アーサー

「その毒見役の男を取り押さえろ。

そいつが犯人だ。」


毒見役

「な、何を言っているんだ!」


レズン

「その者をこちらへ連れてこい。」


護衛の騎士が毒見役をレズンの前に連れてくる。


レズン

「飲め。」


毒見役がためらう。


レズン

「先ほど飲んだばかりだろ。

なぜ飲めない。」


毒見役

「そ、それは、、、」


レズン

「決まりだな。

誰の命令だ?」


毒見役

「・・・。」


レズン

「黙秘か。

別室に連れて行け。

すべて吐かせろ。」


騎士

「はっ。」


騎士が毒見役を連れて行こうとすると、


毒見役

「売国奴どもめ!

ドバン帝国はこの世界の覇者だ!

反逆者どもを国と認め、

停戦するなど、

あってはならないのだ!」


レズン

「くだらんな。

さっさと連れて行け。」


毒見役

「ドバン帝国に栄光を!」


毒見役が騎士に殴りつけられ、そのまま引きずられていく。




レズン

「見苦しいものを見せてしまった。

申し訳ない。」


カルマール

「レズン殿が無事でなによりです。」


レズン

「アーサー殿。

よく見つけてくださいました。

有難うございます。

さすが、噂に違わぬ眼力。

稀代の英雄というのはまことですね。」


アーサー

「たまたまですよ。」


カルマール

「レズン殿、

提案がございます。」


レズン

「なんでしょうか?」


カルマール

「今のまま交渉を続けても時間だけがかかって、まとまりそうにございません。

そこで、

調停案の策定をアーサー殿にお任せ致しませんか?

その上で、我々はアーサー殿の案に賛成するか、拒否するか、その選択のみを行う。

いかがでしょうか?」


レズン

「・・・。

その提案を受け入れよう。」


ドバン帝国側の側近たちがざわめく。


帝国文官

「陛下、

お待ちください。

アーサー殿はカルマール王と親密な間柄でございます。こちらに不利な内容になるのは明白かと。」


レズン

「口を慎め。

アーサー殿は義を尊ぶことでも有名だ。

公明正大な判断を示されるだろう。

それに、気に入らなければ拒否は出来る。

何も問題はない。」


カルマール

「アーサー殿。

大役を任せてしまい申し訳ない。

その知恵をお貸しください。」


アーサー

「だが、、、」


レズン

「難しく考える必要はございません。

1つの案としてご提示ください。

問題があれば拒否するだけです。

アーサー殿にはなんの責任もございません。」


アーサー

「わかりました。

素案を作りましょう。

お時間を頂けますか?」


カルマール

「当然です。

アーサー殿は別室へ。

素案が完成するまで、誰も近づかないように指示を致します。

干渉されては作業も進まないでしょう。」


アーサー

「ご配慮有難うございます。

では、部屋への出入りはアキラのみにしてください。」


カルマール

「承知しました。」

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