この会談の片隅で

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

今回は氷焉のアルタイル視点です。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


時間を少し遡る。


部下

「どうやら人間たちが集まって和平交渉を行うようです。」


アルタイル

「・・・ほう。

なるほど。

良い情報を入手したな。」


部下

「はっ。」


アルタイル

「人間にしては理知的ではないか。

いや、臆病なだけか?

まぁいい。

折角まいた火種を消させるつもりはない。

私と少数の精鋭で会談会場を襲撃する。

人数は絞って、秘密裏に行うぞ。

和平交渉の場で代表団が皆殺し。

戦争の口実としては十分だろ。」


部下

「さすがアルタイル様。

すぐに我が隊の精鋭を集めて参ります。」


アルタイル

「せいぜい今の間に平和な夢でも見ておけばいい。

すぐに争いが全土を覆うぞ。」





数日後。

アルタイルと精鋭5名は新生ドバン王国に向けて移動していた。


その時、


ベル

『ここは通行止めだ。

さっさとうせろ、ザコども。』


アルタイル

「何者だ!?」


ベル

『偉大なる魔王、ベル様だ。』


アルタイル

「魔王だと!

魔王様の名を詐称する愚かなモンスターよ、

その罪は万死に値する。」


ベル

『くだらんな。

吠えたところで、キサマごときでは私に罰を与えることなど出来ないぞ。』


アルタイル

「ほざくな!」


アルタイルが氷の一撃を放つ。

それを合図に魔族たちも散開して攻撃をしかける。


ベル

『遅いわ!』


ベルはなんなく避けて、

更に特大の炎の塊を2つ放つ。

避けられなかった魔族が燃え尽きる。


アルタイルと精鋭たちは魔法を何発も放つが、ベルには当たらない。


また1人。

ベルの放つ炎に焼かれ、炭も残らない。


アルタイル

「なんてスピードだ!?

なぜ、これほど魔法を連発できる!?

いや、考えるのは後だ。

お前たちでは勝負にならん。

下がれ!」


部下たちに退避を命じる。


しかし、


ベル

『クックックッ、

この私から逃げられると思っているのか。』


また1人。

アルタイルの部下は残り2人。

アルタイルの指示に従い逃げようとする。


部下たち

「「なっ!?」」


ベル

『戦場で立ち止まるなど愚の骨頂。

あの世で自らの無能を恥じよ。』


先回りした、ベルが特大の雷撃を撒き散らす。

回避が出来る距離ではない。

一瞬にして黒こげになる。

そして、散っていく。


瞬く間に部下を全滅させられたアルタイル。


アルタイル

「強い、、、

お前のようなバケモノがこんなところで何をしている?」


ベル

『お前ごときに説明する必要はない。

どうせ、もうすぐ死ぬのだ。』


アルタイル

「なめるなよ。

確かにお前は強い。

しかし、我が最強魔法の威力は絶大。

お前がどれほど強くとも関係ない。

すべてを凍らせ破壊する。

受けてみよ。

絶対零度のその先を!」


アルタイルの両手に凄まじい魔力が集中する。

圧倒的な冷気。

空間が悲鳴をあげる。


放たれた冷気はすべてを凍らせ、

白い大蛇のようにうねりながらベルに迫る。


ベル

『大口を叩くだけのことはある。

だが!

私の敵ではない!』


ベルの右手に炎、左手に闇が集まる。

そして、そのまま両手を正面に。


ベル

『すべてを焼き尽くす地獄の業火を受けてみろ!』


漆黒の炎は意思があるかのごとく、

白い大蛇に襲いかかる。


相反する2つの力のぶつかり合い。

周辺に被害を与えながら相克する。


白い冷気の大蛇と黒い炎の大蛇。

生き残ったのは、、、白い蛇。

小さく、か細い、蛇。

それがベルに向けて飛んでいく。


ベル

『なっ!?』


驚き、慌てるベル。


アルタイル

「ふ、ふふふ、、、私の勝ちだ!!」


ベル

『なめるな!!!』


ベルが再び黒い炎の大蛇を撃ち出す。


アルタイル

「バ、バカな!?」


白くか細い蛇は瞬間的に消え去り、黒い炎はアルタイルに牙をむく。


アルタイルにはもう、

動くだけの力は残されていなかった。

跡形もなく燃え尽きるアルタイル。


ベル

『カッカッカッ、

すべて私の作戦通りだ。

勝ったと油断させて倒す。

魔法の撃ち合いは負けたように見せただけだからな。』


ベルの言い訳は誰に向けてのものか。。。

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