レズン到着

カルマール

「明後日、

ドバン帝国一行が到着する予定です。

到着後、すぐに会談に入る予定です。

停戦合意が成立するまでは戦時中です。

それ以降の予定は会談の結果次第。

うまく会談がまとまれば、その翌日に晩餐会を開く予定です。」


アーサー

「新皇帝のレズンとはどのような人物なんですか?

カルマール様の姪なんですよね。」


カルマール

「昔から優秀な子どもでしたよ。

先代皇帝も、成長すれば帝国を支える逸材になると期待されていました。

私とは気が合い、よく話をしたものです。

彼女の国を想う気持ちは本物です。

ある意味、厄介な相手ではあります。」


アーサー

「厄介と言っても、停戦や食糧を強く求めているのはドバン帝国だ。

主導権を握った交渉が出来るだろう。」


カルマール

「そうありたいですね。

今回の会談ではアーサー殿とアキラ殿がキーパーソンだと思っています。

宜しくお願いしますね。」


それから多少話をしてカルマール様は帰っていった。


翌日は新生ドバン王国の役人が、エドワルド王を含む僕らを王都の各所に案内してくれた。

まぁ、退屈な訪問でしたよ。

各所の責任者っぽい人がなんか説明してくれるけどさ、興味ないからね。





そして、翌日。

レズンたち、ドバン帝国一行が到着した。

僕らの時は、歓迎、って感じだったけど、

帝国一行に対しては警戒体勢。

そりゃ、そうだよね。


現れた新皇帝レズンは若かった。

僕と同じくらいかな。

でも意志の強そうな顔って言うのかな。

かなり気はきつそうだね。


ドバン帝国一行が到着したら、

軽く挨拶を済ませたら、会談の準備が進められた。

会談会場では東西ドバンの一行が向かい合い座る。

中央の議長席にエドワルド王。

その左右に側近たち。

僕やアーサーさんは2列目。


エドワルド

「これより会談を開始する。

双方ともに前向きな議論をして頂きたい。」


カルマール

「新皇帝レズン。

まずは、停戦の意思を示してくれたこと、

そして、我ら新生ドバン王国を国として認めたことを前向きに評価したい。」


レズン

「カルマール王よ、

お久しぶりです。

この度は会談の場を設けて頂いたことに感謝致します。」


こうして始まった会談。

最初の議題は停戦。

両国ともに停戦に前向きな意思を示した。

しかし、議論は前に進まなかった。

停戦合意の内容について、両者が譲らない。

最大の争点はどこに国境ラインを引くか。

当然、両国ともに自国に有利な決定を得ようと譲らない。


新生ドバン側は、停戦を申し込んできたドバン帝国が譲歩すべきだと、主張する。


対するドバン帝国側も、レズンの決断が早く、まだ致命的な状態に陥っていない。まだ戦う余力を残していることが、強気な交渉を後押ししている。


更には賠償金の問題。

高額な賠償金を求める新生ドバン側と、対等な停戦合意であり、賠償金は必要ないと主張するドバン帝国側。


停戦合意後、国境付近でのルール作り。

捕虜の扱い。

また停戦合意で止めるのか、和平まで進めるのか。


議題は山のようにあるが何も決まっていかない。




そして、エドワルド王のイライラもピークに達していた。

何度も調停案を提示するが両国が賛同しない。両国の意見の衝突は激しく、議長であるエドワルド王が蔑ろにされることもしばしばあった。


ただ、意見は衝突しても、早々に停戦合意を結びたいという思惑は両国ともに一致しているために、議論を辞める気配は今のところない。


議論は平行線のまま、時間だけが過ぎていく。カルマール王、皇帝レズンはほとんど発言をしていない。

その家臣たちが激しく意見をぶつけている。

両国とも元は1つの国だった。

参加しているメンバーも知り合いが多い。

そうすると、そこに過去の因縁なども絡んでくる。

どんどん話はややこしくなる一方でまとまる気配はない。


なんの成果も出せぬまま、初日は終了した。

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