呼び出しの真相
夜にアーサーさんの私室を訪れた。
アーサー
「来たな。」
アーサーさんとペネロペ様が待っていた。
僕
「すいません。
お時間頂いて。」
アーサー
「こちらこそ、出直しさせてすまん。
かなり大きな機密事項なんでな。
大っぴらには話せないんだ。」
僕
「それで、なんなんですか?
その機密事項って。」
アーサー
「ドバン帝国の皇帝、レギンが死んだ。」
僕
「それって大事件じゃないですか。」
アーサー
「そうだ。
まだ公表されていない。」
僕
「でも、それと僕が呼び出されたことと、何の関係があるんですか?」
アーサー
「慌てるな。
順を追って話す。
まず、レギンが死んだ。
死因は不明だが、おそらく殺されたと見ている。」
僕
「誰が犯人なんですか?」
アーサー
「わからん。
だが、レギンの後を継いだレズンが容疑者の筆頭だろうな。
レズンはレギンやカルマール王の姪にあたる人物だ。」
僕
「姪ってことはかなり若いんじゃないですか?」
アーサー
「ああ。
もう成人はしているが、かなり若い。
だから、
暗殺を首謀して皇帝に取って代わったのか、
何者かが暗殺を実行し、傀儡皇帝として置かれただけなのか、そこの判断はまだ出来ていない。
だが、帝国が大きな方針転換をはかった。
新生ドバン王国に停戦を申し入れたんだ。」
僕
「じゃあ、東西ドバンの争いは終わるってこと?」
アーサー
「まだわからん。
一時的なものなのか、恒久的なものなのか。
近日、新生ドバン王国の王都で停戦の交渉と調印式が行われる予定だ。」
僕
「今のところ、まったく僕、関係無いんですけど?」
アーサー
「まぁ、待て。
この停戦交渉と調印式が関係しているんだ。
まずカルマール王が調停人として、私を指名してきたんだ。」
僕
「自慢ですか?」
ペネロペ
「自慢です。」
アーサー
「違うわ!
どうしてそうなるんだ!」
僕
「なんか得意気でしたよ。」
ペネロペ
「指名されて困ったな~と言いつつ、
口元は緩んでましたよ。」
アーサー
「そんなことはない!
話を戻すぞ。
その交渉に皇帝レズンはアキラを連れて来てほしいと要請してきたんだ。」
僕
「ん?
なんでですか?
唐突に僕の名前が出てきましたけど。」
アーサー
「まず、確認だが、
西側の小国に格安で食糧を販売したか?」
僕
「しましたよ。
食糧不足って聞いたんで。」
アーサー
「やはり事実か、、、
アキラのことが、凄まじい量の食糧をいきなり持って現れた『奇跡の商人』と言われているようだ。
だから、レズンは会って取引がしたいらしい。」
僕
「でも、もうほとんどの食糧は売っちゃいましたよ。」
アーサー
「まぁ、売る売らないは今後の交渉次第だが、可能なら食糧を集めておいてほしい。」
僕
「わかりました。
少し集めてみます。」
アーサー
「この話はまだ内密にしておいてくれよ。」
僕
「わかりました。」
ペネロペ
「今回の案件について、国王陛下がどのように対応されるかが不明です。」
僕
「どういうことですか?」
ペネロペ
「東西ドバンの停戦合意となれば世界的な大事件です。歴史的な一大事と言っても過言ではありません。
それをアーサー様が仕切ったとなると、陛下としては面白くないでしょう。
邪魔をするか、自分の手柄にするか、、、
私は後者だと予想しておりますが。」
僕
「あぁ、なるほど。
確かにアーサーさんに手柄を全部持っていかれるのは嫌でしょうからね。
でも、指名はアーサーさんなんですよね?」
ペネロペ
「カルマール王もレズンもアーサー様ならば、と言っているようです。
その状況で国王陛下がどう折り合いをつけるおつもりなのかはわかりません。
ですが、そういう不確定要素が存在していることを頭の片隅に置いておいてください。」
アーサー
「パエルモ卿とアキラが王宮に来たときに陛下の真意も見えるだろう。
大丈夫だとは思うが、無茶はするなよ。」
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