アキラの立ち位置
パエルモ
「そろそろアキラも自分の立ち位置を理解するべきだな。
貴族ではないがAランク商人の影響力は絶大だ。私の派閥の貴族たちには手を出さないように指示しているが、その影響力を手に入れたい人間は少なくない。
そろそろ身を固めることも考えておいた方がいいぞ。」
僕
「もしかして、今まで縁談話とかなかったのはパエルモ伯爵のおかげだったんですか?」
パエルモ
「アキラは自由気ままな方が好きと思ってな。嫌だろ、いろんな貴族から縁談がたくさん寄せられるのも。」
僕
「それはちょっと困りますね。」
パエルモ
「他の派閥の貴族も私と関係の深いアキラに手を出そうとはせん。
だが、ベルフォームほどの大物であれば、私の名前だけでは止めきれなかった、というところだな。」
結婚か~。
そろそろ考えないといけないのかな。
元の世界と違って、この世界は結婚が早い。
20歳になる前に結婚しちゃうケースが多い。
僕も十分適齢期だ。
真面目に考えないとな~。
コンコンコン
ノックの音だ。
パエルモ
「どうした?」
ザバス
「お取り込み中失礼致します。
国王陛下より鳥が届きました。」
急ぎの連絡は鳥に文書を持たせるのがスタンダード。
ザバスさんが持ってきた文書をパエルモ伯爵が読む。
僕
「お忙しそうなので、僕は失礼しますね。」
パエルモ
「まぁ、待って。
この文書はアキラにも関係がある内容だ。」
僕
「えっ?
僕ですか?」
パエルモ
「アキラを連れて、至急、王宮に来てほしいという内容だ。」
僕
「どうして僕なんですか?」
パエルモ
「わからん。
鳥便ではそれほど長文は送れんからな。
王都に来られるか?」
僕
「まぁ、国王陛下の呼び出しを無視は出来ないですからね。
パエルモ伯爵が王都に到着したら、満月亭に顔を出して頂けませんか?
すぐに行きますよ。」
パエルモ
「わかった。
その足で王宮に向かうことになると思うから、正装で来てくれ。」
僕
「わかりました。
宜しくお願い致します。」
なんか、謎の呼び出し。
国王、エドワルド陛下とはそれほど接点がない。アカツキ王国の使者との晩餐会の料理を担当した時に少しだけ顔を合わせただけだ。
弟のアーサーさんとは何度も会ってるんだけど。
パエルモ
「私は明日には街を出て王都を目指す。
アキラの方でもし、国王陛下の目的がわかったら、教えてほしい。
後でザバスにだいたいの行程表を書かせる。
頼めるか?」
僕
「いいですよ。
僕も気になりますし。」
パエルモ
「助かる。」
僕はパエルモ伯爵邸を出て、帰宅。
そのまま満月亭を経由して王宮へ。
アーサー
「普通は、
普通は、私にはなかなか会えないんだぞ。
普通は、使者を立ててアポイントを依頼して、早くても数日は待つもんなんだぞ。」
ペネロペ
「あら、アキラ様。
お久しぶりです。」
夕食中の2人。
いきなり現れた僕にも動揺しない。
もう慣れたみたい。
僕
「食事中でしたか。
お騒がせしてすいません。」
ペネロペ
「では、
お詫びにデザートなどございませんか?」
にっこり笑うペネロペ様と、
ぷりぷり文句を言うアーサーさん。
僕
「じゃあ、これなんてどうでしょう。」
マジックバックから出したのは、
マンゴーゼリー。
ペネロペ
「あら、きれいな色のゼリーね。」
僕
「南国のフルーツの果肉を沢山使ったゼリーです。どうぞ、食後のデザートにお召し上がりください。」
アーサー
「それで、
わざわざ来たからには何か用事があるんだろ?」
僕
「ちょっと聞きたいことがあって。」
アーサー
「だろうな。
1時間後に私の私室に来てくれ。
機密事項が含まれるから、ここでは話せないんだ。」
給仕係たちがいるから話せないのかな。
でも、アーサーさんは僕の用件が想像ついているってことだよね。
何だろう?
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