レズンの決断

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今回はレズン視点です。

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私の名前はレズン。

父の名前はキサレン。


キサレンの名前は他の兄弟に比べて、あまり有名ではない。

兄がレギン。

弟がカルマール。

そう、兄弟は東西ドバンの皇帝と国王だ。


兄弟とは異なり、我が父、キサレンはまったく政治に興味がない。

ただの浪費家だ。

美食、芸術、そういったことに惜しみなく金を使う。

国内が困窮していてもお構い無しだ。


国にとっては害虫のような存在。

我が父ながら情けない。

何度か諌めたが、聞く耳を持たない。

今日もこのご時世にくだらないパーティーを開いている。


それに比べて叔父のレギンは政治に熱心だ。

帝国の繁栄を取り戻すために日夜、指示を飛ばしている。



ただ、、、、、無能だ。

打つ手、打つ手、すべて裏目だ。

もはや国内の不満は爆発寸前だ。

いつ反乱が起こってもおかしくない。

いや、既にいくつかの反乱は発生している。

なんとか鎮圧出来ているが、もう限界だ。




私はレギンのもとを訪れる。


レズン

「陛下、お忙しいところ申し訳ございません。」


レギン

「かまわん。」


レズン

「現在、国内の食糧事情は危機的な状況です。早急に対策を。」


レギン

「無論だ。

西側の小国群から徴発する。」


レズン

「しかし、小国は!」


レギン

「問題ない。

あのリズムリアのアーサーの子飼いの商人が西側各国に食糧をばらまいたんだ。

忌々しい。

こちらへの嫌がらせだろう。

だが、それを逆手に取る。

やつがばらまいた食糧をこちらに回させる。

今まで魔族から守ってきてやったんだ。

食糧ぐらい出して当然だ。」


レズン

「陛下、、、

ご決断に変更はございませんか?

それを行えば、西側の小国群は反帝国に寝返りますよ。」


レギン

「そんな恩知らずな行いをするようであれば、実力行使をするまでだ。

連中に帝国軍を止めるだけの力はない。」


レズン

「さすがは陛下。」


レギン

「レズンは優秀だな。

キサレンの娘とは思えんな。」


レズン

「幸か不幸か反面教師には恵まれましたので。」


レギン

「ハハハ、

キサレンに聞かせてやりたいな。」


レズン

「・・・反面教師にはあなたも含まれるんですよ。」


レギンの顔から笑みが消え、

一気に険しくなる。


レギン

「レズン、

笑えない冗談だな。」


レズン

「冗談で皇帝陛下にこのようなことは申しません。

私は、、、本気です!」


ダダダダダダ

兵士たちが部屋になだれ込む。


レギン

「何のマネだ!」


レズン

「もうお分かりでしょう。

あなたの時代は終わりです!」


レギン

「バカな!

私がいなくなれば、誰が帝国を導くと言うのだ!」


レズン

「あなたよりはマトモに国を導いてみせますよ。」


レギン

「レズン!

謀ったな、

レズン!」



そこからのレズンの動きは早かった。

いや、既に準備が出来ていた。

レギンの仲間を一気に粛清していく。


その粛清の相手には自分の父、キサレンも含まれている。


レズン

「今夜、すべてを決める!

ターゲットを1人も逃がすな。

後の憂いをすべて摘み取れ!」




朝を迎える前に決着はついた。


貴族

「やりましたな、レズン様。」


レズン

「大変なのはここからよ。

問題は山積みなんだから。

まずは粛清した貴族たちの資産を使って、食糧を国民に供給して。

それと新生ドバン王国のカルマール王に使者を出して。早急に和平を進めます。

東部の食糧を購入しないとこの難局は乗りきれません。」


貴族

「カルマールは和平に応じますか?

これを好機と見て、攻めてくるのでは?」


レズン

「十中八九、大丈夫。

新生ドバン王国にもそこまで余裕はありません。まずは新生ドバン王国、そしてスノーデン王国やジプート連邦とも停戦を結びます。」


新たなリーダー、レズンの采配。

これからドバン帝国の歴史は大きく動く。

いや、それは全世界を巻き込む大きなうねりとなっていく。

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