ワイバーン討伐作戦

討伐部隊の編成が急がれた。


第一陣 ワイバーン討伐隊

騎士団が主力となる。

ブラックキャットが先導兼サポート。


第二陣 レッドドラゴン討伐隊

戦姫フレデリカと翼竜の一刺。

ディオンたちがレッドドラゴンを誘導して、フレデリカが戦う。


第三陣 周辺モンスターの討伐

Dランク以下の冒険者中心。

モンスターはワイバーンやレッドドラゴンだけではない。周辺にいる他のモンスターを倒し、野営地の安全確保などを行う。


以上の編成で大規模討伐隊が出発した。


僕の役目は食事の提供。

さすがに僕だけでは相手が多過ぎるので、マユラさんに手伝いに来てもらっている。

ちなみにマユラさんにはリンがそばについている。マユラさんの護衛兼お手伝いだ。


荷物は僕とマユラさんがマジックバックに入れている。サンドイッチは渡すだけだし、スープは現地でカップに注ぐだけ。


マユラさんとリンには第一陣を担当してもらう。第二陣は少数精鋭だからサッと渡すだけ。僕のメイン担当は第三陣だ。




まずは第二陣。

フレデリカさんとブラックキャットのみなさん。


「こちらランチの差し入れです。

この小さめのマジックバックに入れておきますね。マジックバックは今回の作戦が終わったら、急がないので返してくださいね。」


フレデリカ

「マジックバックの貸し出しか。

それはありがたいな。」


テオ

「本当に助かるよ。」


「それと、サービスで、

ローブを1枚とマントを2枚入れておきました。耐火性が高いから、レッドドラゴンとの戦いで役に立つと思うよ。

もちろん、要返却ね。」


テオ

「それは助かる!

こちらでも耐火性能のあるマントは用意していたが、気休め程度の性能だったからね。」


フレデリカ

「このローブなら、それほど動きの邪魔にならないな。

よし、

レッドドラゴンどもを殴り殺してやるか。」


ニヤリと笑うフレデリカさん。

完全に悪役な顔になってるよ。




続いて、第三陣。

こっちは人数も多いし、範囲も広い。

パエルモは慢性的に上位ランクの冒険者が不足している。上位ランクの冒険者は商人などの護衛についているため、こういった要請には参加してこない。


第三陣はDランクとEランクの冒険者の混成部隊だ。

部隊と呼べないぐらい統制は取れていない。とりあえず担当エリアを決めて、それぞれに持ち場のモンスターを倒すだけ。

ちなみにワイバーンやレッドドラゴンが接近した場合は逃げることになっている。


僕はどんどん移動しながら、サンドイッチとスープのセットを販売していく。


冒険者

「おいおい、パンとスープで10ウォンカはぼったくりだろ!」


冒険者

「そうだぜ、

俺たちが守ってやってるんだ、タダでもいいぐらいだぜ。」


なんか横柄な態度の冒険者パーティーに絡まれた。4人組だ。

こういう輩は困るんだよね。

どうしたもんかな。


「わざわざ、こんなところまで料理を持ってきているんですよ。適正価格です。」


冒険者

「うるせぇ!

そうだな、4人分を10ウォンカにしな。

そしたら金を払ってやるよ。」


冒険者

「おっ、優しいな~。」


「じゃあ、買わなくてけっこうです。

それじゃ。」


僕が立ち去ろうとすると、


冒険者

「ちょっと待てよ!」


僕に掴みかかろうとする冒険者。


は~、面倒だな~。


「やめろ!」


ん?


横から別の冒険者たちが声をかけてきた。


別の冒険者

「満腹亭さんに何をするんだ!」


別の冒険者

「満腹亭さんのサンドイッチがこんなところで、10ウォンカで食えるなんて最高じゃないか。」


更に冒険者が集まってきた。


追加の冒険者

「お前らよそもんだろ!

満腹亭さんに手を出すなら、俺たちが相手になるぞ!」


追加の冒険者

「そうだ!

そうだ!」


冒険者

「ちっ」


僕にからんできた冒険者たちは舌打ちして、立ち去っていった。


別の冒険者

「大丈夫だったか?」


「ありがとうございます。

大丈夫です。」


別の冒険者

「俺たちに人数分サンドイッチのセットをくれ。」


「ありがとうございます。

助けて頂いたお礼に、唐揚げ串を人数分サービスでつけときますね。」


別の冒険者

「やったぜ♪」



なんか嬉しいな。

満腹亭がパエルモのみんなから愛されるお店になってきたんだね。

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