厄災の巨鳥
調査の報告をしようとしたら、そのままパエルモ伯爵邸に行くことになりました。
ロイズ
「すまないね。
緊急の案件だから、アキラ君が報告しに戻って来たら、連れてきてほしいと頼まれていてね。」
そのまま、前回同様、執務室で報告をすることになった。
パエルモ
「それで、山頂付近は確認出来たのか?」
僕
「見てきたよ。
大きな鳥が居座ってたね。」
ロイズ
「巨鳥!?
・・・最悪の展開かもしれません。」
パエルモ
「何かわかったのか?」
ロイズ
「過去の文献に『厄災の巨鳥』と呼ばれるモンスターの記載がございました。
なんでもすべてを焼き尽くす炎の化身で、その炎はレッドドラゴンすら、一瞬で灰にしてしまうほどだとか。
約500年前に現れ、この辺り一帯を焼け野原にして去っていったそうです。」
パエルモ
「伝説級のモンスターか。
避難を前提に対策を考えるべきか、、、」
僕
「それなら大丈夫です。
うちのドラに喧嘩売って、返り討ちにあったから。」
ロイズ
「アキラ君の従魔が倒したのかい!?」
パエルモ
「強いと思っていたがこれほどとは、、、
では、
もう解決したと思ってよいのか?」
僕
「う~ん。
そこまで単純じゃなくて。
鳥にビビったレッドドラゴンはすぐに山頂に戻らないんじゃないかって、僕の従魔が言ってました。」
ロイズ
「なるほど。
確かに一理ありますね。
一度テリトリーを変更したモンスターは、元々いた場所が空いたからといって、自発的に戻る訳ではないですからね。」
パエルモ
「なら、このままワイバーンたちは居座るということか?」
ロイズ
「いえ。
早々に今いるモンスターたちを倒してしまいましょう。
再発生するモンスターは災厄の巨鳥に関係なく、住みやすい場所を巣にするでしょうから、元の場所に戻る可能性が高いと考えられます。」
パエルモ
「なるほどな。
ならば討伐の準備に入ろう。
先日よりも大がかりな討伐作戦になるな。」
ロイズ
「そうですね。
先日は南に突出していたワイバーンを間引いただけですが、今回は出来ればレッドドラゴンも倒したいところです。」
パエルモ
「そうだな。
レッドドラゴンと戦えるのはフレデリカぐらいか。
つり出して、平地でフレデリカに戦ってもらい、1体ずつ倒していくしかないだろうな。」
ロイズ
「そうですね。
他の主力メンバーで、
ワイバーンを倒し、
レッドドラゴンを誘導する。
補助戦力で周辺モンスターの討伐。
といったところでしょうか。」
パエルモ
「そうしよう。
冒険者を集めてくれ。
特に『翼竜の一刺』と『ブラックキャット』はあのエリアのスペシャリストだ。
どちらかにレッドドラゴンの誘導をお願いしたい。」
ロイズ
「わかりました。
依頼してみましょう。
ただ、非常に危険性の高い依頼になります。
受けてくれる確証はございませんよ。」
パエルモ
「依頼料は上乗せする。
説得を頼む。」
ロイズ
「やってみます。」
緊迫した空気が流れている。
僕
「あの~、、、」
パエルモ
「どうしたんだ?」
僕
「鳥を倒した時に卵を手に入れたんだけど、いります?」
僕はマジックバックから卵を取り出す。
卵といっても、僕の身長ぐらいの大きさがあるけどね。
目を見開き、そして頭を押さえるパエルモ伯爵。
パエルモ
「すまんが、私の手におえる代物ではない。
見なかったことにしてくれ。」
僕
「ロイズさんは?」
ロイズ
「学術的な興味はありますが、
危険性が高過ぎます。
私に扱えるものではありません。」
僕
「そっか~。
じゃあ、レッドドラゴンを倒した時にお祝いで特大のパンケーキでも作ろうかな。」
ロイズ
「災厄の巨鳥の卵のパンケーキ、、、」
パエルモ
「出来れば祝いは普通の食材にしてくれ。」
僕
「なんか不評みたいなので、やめておきます。」
ロイズ
「アキラ君、
出来れば戦場近くで出張販売をお願いしたいんだけど。サンドイッチとスープなんかを販売出来ないかな?」
僕
「それぐらいなら大丈夫です。
さすがに危険地帯だから料理人は連れていけないですけど。」
ロイズ
「十分です。
みんなの士気が上がります。
とても助かりますよ。」
パエルモ
「騎士団の方にも頼む。
冒険者たちがうまいものを食っているのをただ眺めるのはキツイからな。」
僕
「わかりました。」
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