ワイバーンの恐怖
ある日。
パエルモ伯爵から緊急の呼び出しを受けた。
もちろん断る理由もないので、パエルモ伯爵のお屋敷に出向いた。
いつもの執務室に通されると、そこには意外な顔があった。
僕
「ロイズさん?」
ロイズさんはパエルモの冒険者ギルドのギルドマスターだ。
とてもお世話になっている恩人でもある。
パエルモ
「ロイズ氏にも来てもらっている。
まずは座ってくれ。」
僕は言われた通り椅子に座る。
パエルモ
「悪いな。
忙しいところを呼び出して。」
僕
「いえいえ。
それで、何があったんですか?
ロイズさんが同席している時点でなんとなく嫌な予感はしてますけど。」
パエルモ
「そう言わずに話を聞いてくれ。
ロイズよ、状況説明を頼む。」
ロイズ
「承知しました。
現在、ワイバーンが南下してきている、という問題が発生している。
『翼竜の一刺』と『ブラックキャット』から通報が入った。」
『翼竜の一刺』のディオンさん、
『ブラックキャット』のテオさん、
どちらもパエルモを代表する冒険者だし、僕の飲み仲間でもある。
ロイズ
「かなりの数のワイバーンが本来の居住地であるタカート山脈から南下していました。
そこでパエルモ卿の騎士団と冒険者による共同作戦を実施。
作戦は成功。
相当数のワイバーンを討伐しました。」
僕
「良かったじゃないですか。」
パエルモ
「そこまでは、な。
お前にスカウトしてもらったフレデリカたちがいるんだ、そう簡単に負けはせんよ。」
ロイズ
「問題はこの後です。
せっかく減らしたワイバーンがすぐに増えてきたんです。
これは一時的なものではない可能性が高いという判断から、最大戦力による調査を実施。
ワイバーンの南下の原因はレッドドラゴンが南下し、ワイバーンの居住地を奪ってしまっていることだということまではわかりました。ただ、レッドドラゴンが南下した原因は不明。それ以上の調査も不可能という判断に至りました。」
僕
「つまり、レッドドラゴンが原因だとはわかったけど、それ以上はお手上げってこと。」
パエルモ
「平たく言えば、そういうことだ。
私が所有する最強戦力のフレデリカは近接スピードタイプのファイターだ。山間部でレッドドラゴンの群れと戦うなど無理だ。
他の騎士団員では、そもそもレッドドラゴンに手も足も出ん。」
ロイズ
「冒険者ギルドも同様です。
レッドドラゴンと戦える戦力はございません。」
僕
「こういう場合、普通はどうするの?」
パエルモ
「対処療法だな。
ワイバーンの間引きを続けて、被害が出ないようにしつつ、いつか状況が好転することを祈るだけだな。」
僕
「で、、、
僕に何を期待しているんですか?」
ロイズ
「申し訳ございません。
原因究明です。
本来、商人であるアキラ君に頼むのは筋違いであることは承知しています。
しかし、状況次第ではパエルモの街の存亡に関わる可能性もある案件です。
正論など言っている余裕がない、というのが本音です。」
パエルモ
「申し訳ない。
アキラが戦力としてアテにされるのを嫌っているのは重々承知している。
だが、街を預かる身としては頼むしかないと考えている。
理解してくれとは言わん。
だが、協力して欲しい。」
僕
「は~~~。
ズルいな~。
これ、断れないパターンじゃないですか。
とりあえず見てきますね。
調査とかは本職じゃないんで適当ですよ。
それは許してくださいね。」
パエルモ
「すまん。
恩にきる。」
ロイズ
「わかった範囲で報告をして頂ければけっこうです。こちらにある情報と照らし合わせますので、ご心配は不要です。」
ドラを連れていこう。
ドラたちはタカート山脈に時々狩りに行ってたから、違和感とかわかるんじゃないかな。
まぁ、世話になっている人たちに頼まれたら断れないでしょ。
山に行って状況確認するだけだから楽勝でしょ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます