占いの館

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今回もマサキ視点です。

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マサキたちは順調に資金を貯めて、ニノーヘに向かった。

マサキとマイは世界トップクラスの実力者。

普通に旅をする上で問題は何もない。


ニノーヘへは直通の馬車がないため、何回か乗り合い馬車を乗り継いで向かっていく。

マサキは旅慣れている。

特にトラブルもなく到着した。




ニノーヘは平和な田舎町。

特に何もない。

パッと見るとただの地方の農村。

しかし、占いの館が隠れた名所になっている。

日帰り出来る場所ではないため、何もない街

の割には宿屋がしっかりしている。

占いを求めた人たちが泊まるためである。


街の片隅に占いの館がある。

常に列が出来ている。

マサキたちもその列に並んだ。

1回300ウォンカは安くない。

それでも、スキルとして行われる『占い』への信頼度は高い。


失くしたもの、

探したい人、

未来の相談、、、

占いを求める人は後を絶たない。

しかも『占い』はMPを使用するスキルだ。

1日に使える回数も限られている。

そのための行列だ。


占いを求めるのは貴族や金持ちが多い。

そのため、並んでいるのは使用人や部下。

順番の直前に本人を呼びに行くという流れがほとんどだ。

マサキたちは本人が並び続けた。




そして、

ようやくマサキたちの順番だ。

呼びに来るのは武装した護衛。

まぁ、これだけ人気の占い師だ。

ちゃんと自衛しないと危険なんだろう。


中に入ると40代の女性。

身なりは良い。

占い師のアイコだ。

並んでいる間に知った。

アイコは異世界人だそうだ。


アイコ

「さてと、初めて見る顔だね。

なんの用だい?」


マサキ

「人探しです。」


アイコ

「そうかい。

名前と顔を思い浮かべな。

そして、

私が占えばだいたいの場所がわかるよ。

場所の細かさはここからの距離によるから、クレームは無しにしておくれよ。」


マサキ

「セントラル大陸だとどの程度の精度になりますか?」


アイコ

「セントラル大陸は広いからね。

東側と西側を同じように語れないよ。

まぁ、大陸のどこでも街の名前程度は言えるよ。

ただ、セントラル大陸の西側が占いの結果として出た場合、たどり着く前に相手が移動してしまう場合もあるからね。

それでいなかったと文句は言わないでおくれよ。」


マサキ

「・・・」


マイ

「どうしたの?」


マサキ

「名前や顔がわからない場合は占えないのか?」


アイコ

「出来れば両方欲しいね。

もちろん、今の顔じゃなくてもいい。

成長したり、痩せたり、怪我をしたり、、、

昔と人相が変わっていてもそれは問題ない。

もちろん、名前だけで占うことも出来るし、

名前や顔以外の情報でも占えなくはないけど、情報が少ないと精度が落ちると思っておいてね。

それでも良ければ占うけど。

私が言うのもなんだけど、

顔も名前もわからない相手を大金払ってまで占いたいのかい?」


マサキ

「実は・・・。」


マサキは自分たちが異世界人であること。

クラス全員で転移したこと。

そのほとんどが奴隷として売られたこと。

半分くらいは消息がわかっていること。

残りを探したいってこと。


順を追って説明した。


マサキ

「クラスメートたちの行方を探したいんだ。

ただ、名前や顔が思い出せない仲間もいて。

他のみんなに聞けば誰かが覚えていると思うんだけど。」


マサキは自らを恥じるように語った。


アイコ

「私も異世界人だからね。

気持ちはわかるよ。

この世界の方が強烈な出来事が多いからね。仲が良かった友だちならともかく、ただのクラスメートを何年も覚えておくのは難しいさ。そんなに気にしなくてもいいと思うよ。」


マサキ

「ありがとうございます。」


アイコ

「さぁ、サクサク占っていこうか。

情報が多い人から順番にいきましょ。

おそらく全員を一気に占うほどのMPがないから続きはまた明日ね。」


アイコはそう言うとマサキとマイから情報を聞きながら、次々と占っていった。

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