商人の恐ろしさ

僕たちが商人ギルドを出ると、ニンバスさんが職員に慌ただしく指示を出していた。


「これから商人ギルドの人たちはどうなるんですか?」


ガロッソ

「この街を出るんだよ。

おそらく、ギルド支部のある大きな街まで行くんじゃないか?

この街も終わりだろうな。」


「商人ギルドがなくなるとそんなに大きな影響が出るんですか?」


ガロッソ

「出る。

商人ギルドの無い街にはよほどのことがない限り、商人が来ない。

商人が来なければ物が動かない。

人や物が動かないという状態が長く続けば、街は急速に衰えていく。

それはどうやっても止められない。」


「じゃあ、スキピオは?」


ガロッソ

「今の支配体制が続く間は商人ギルドは手を貸さないだろうな。

一旦滅ぶか、カルタンゴたちが一掃されない限り、この街に未来はないな。」


「まぁ、あんな連中が支配してたら、どうしようもないよね。

あの結界はどうしたらいい?」


ガロッソ

「そうだな、、、

1週間後ぐらいに解除すればいいんじゃないか。それだけの時間があればみんな避難出来るだろう。」


「わかりました。

じゃあ1週間後に解除しますね。」


ガロッソ

「よし、それじゃ、気をとりなおして、次の街に行くか。」


「はい。」




その後、いくつかの国々を回って、僕らの用意した食糧が尽きた。

セントラル大陸西側の小国をかなりカバー出来たと思う。


僕らの訪問は大抵の国では歓迎された。

なにせ、食糧危機を目前にしている状態だから、大量の食糧を安く販売する僕たちはとても感謝された。

一部の国では、もっと安くしろとか、買い叩こうとする国もあったけど、そんな国では、売らないようにした。あくまでも善意で行っているだけで、絶対に売らないといけないなんてことはない。気に入らなければ次に行けばいいだけだからね。

さすがに、強盗しようとしたのはスキピオだけだったよ。


ガロッソ

「これで終わりだな。」


「そうですね。

これでもう空っぽです。

じゃあパエルモに戻りますか。」


ガロッソ

「そうだな。

完璧とは言えないが、かなりの人は救えたんじゃないか。

お金もかなり儲かったし、な。

まずまずの結果じゃないか。」


「そうですね。

パエルモに帰った後、グランドマスターにスキピオのことは報告しておきますね。」


ガロッソ

「ああ、頼む。

本当に世界中、自由自在だな。

グランドマスターはスノーデン王国だろ。」


「まぁ、機動力には自信があるんで。

じゃあ、帰りますよ。」



リターンポイントでパエルモに帰り、ガロッソさんと別れた。

その後、

イーロンさんへの報告と、

グルラさんと売上の山分け、

を行うことに。



話を聞いたイーロンさんは、


イーロン

「愚かしい行いですね。

たまにいるんですよ。

何事も武力でどうにか出来ると思い込んでいる愚か者が。

商人をナメるとどうなるかを痛感して頂きましょう。」


イーロンさんが悪い笑顔になっている。


一応、カルタンゴたちを閉じ込めていた結界は解除している。

閉じ込めたまま殺してもいいんだけど、僕が殺したと言われるのも出来れば避けたい。


・・・ちなみにだけど、大量の男たちが狭いエリアに閉じ込められて、食事抜きで水だけ与えられて1週間って、けっこうキツイよ。トイレもないわけだからね。全員悲惨な状態になっていたらしい。

出来れば見たくないね。


カルタンゴたちは見捨てられて、本当に山賊になったらしい。




それと、グルラさん。

ガロッソさんに支払った経費などを差し引いてから山分けした。


グルラ

「この短期間で、この稼ぎか、、、

やっぱり凄いな。」


「まぁ、あれだけの量の農作物を売ったからね。」


グルラ

「これで大陸縦貫道計画が進められるぞ。」


「グルラさんって本当に色々やってるよね。」


グルラ

「目標はジャブル大陸をもっと開かれた場所にすることだ。そのための小さなステップを繰り返しているに過ぎないよ。」


グルラさんの熱量は尊敬してます。

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