僕の場合
僕
「さすがですね。」
ガロッソ
「ありゃ~なかなか良い王様だったな。
ここまでトントン拍子にまとまるのは珍しいと思うぞ。普通はかなり大きな契約だからな、もう少し手間取るだろうな。
よし、次行くぞ。」
・
・
・
ガロッソさんの予想通り、次の国は少し手間取った。必要な量を買うためのお金が足りなかったんだ。
買う量を減らすか、資産を売却してお金を用意するのか、など、先方の意見もなかなかまとまらなかった。
そこでガロッソさんが助け船を出して、3年かけて分割払いをすることで合意した。
僕としてもお金が欲しくて売ってる訳ではないので、即金にこだわるつもりはない。無料で食糧をばらまくのは悪影響が大きいというだけの理由だからね。
ガロッソ
「よし、次はアキラ、自分でやってみろ。
もちろん困った時はサポートするし、おまえが交渉するんだから、手数料をよこせなんて言わねぇよ。」
僕
「えっ、僕ですか。」
ガロッソ
「手本は見せたし、サポートもしてやる。
絶好の練習の機会だぞ。
何事も経験だ。
いいな。」
僕
「やってみます。」
次はスキピオという都市国家だ。
比較的新しい国で、やはり、魔族との戦いの最前線の1つらしい。
過去に魔族の攻撃で住民がいなくなったところに、新しく人が流入して、再び都市国家としての体裁を取ったという流れのようだ。
ここも氷焉のアルタイルの攻撃を受けたようで、街を歩くと、街のそこかしこに被害が見える。
街の中央、最も大きい建物が城という扱いらしい。城と呼ぶよりも、豪邸とかってイメージに近いかな。
僕は衛兵さんに声をかけた。
僕
「あの~、、、」
衛兵
「ん? なんだ?」
僕
「僕はAランク商人のアキラといいます。
あの、、、食糧を販売したくてきたんですけど、どなたか偉い方、いらっしゃいませんか?」
衛兵
「本当にAランク商人なのか?
何か証拠はあるか?」
僕
「あ、え、ちょっと待ってください、、、」
僕は慌ててギルドカードを見せた。
衛兵
「本物のようだな。
少し待っていろ。」
衛兵さんが奥に入っていく。
横でガロッソさんが難しい顔をしている。
僕はガロッソさんに対して、
僕
「ここから頑張ってみます。」
ガロッソ
「いや、そうじゃない。
ここは少し厄介かもしれないな。」
ガロッソさんが小声で話してきた。
それに合わせて、僕も小声で、
僕
「どうしてですか?」
ガロッソ
「挙動不審のアキラを怪しむのはわかるが、普通はAランク商人とわかった時点で態度を改めるものだ。
なのに、衛兵が最後まで命令口調だった。
下っぱの態度は上の人間の考え方が影響するものだからな。
・・・アキラ、慎重に交渉していこう。」
僕
「えっ!?
代わってくれないんですか?」
ガロッソ
「これも良い経験だ。
もちろん、厄介なことになりそうになったら横から口を出す。
心配するな。」
僕
「約束ですよ。」
そんな会話をしていると衛兵が戻ってきて、案内してくれることになった。
しばらく待機させられて、ようやく会えることになった。
通されたのは謁見の間って感じかな。
王様っぽい人がどっしり座っている。
以前ガロッソさんがやったように頭を下げる。
王様
「お前たちが食糧を持ってきた商人だな。」
僕
「はい。」
王様
「では、すべて我が国の備蓄庫に入れよ。」
僕
「えっ?
すべてですか?」
王様
「二度も言わすな!」
僕
「私たちはこの後もいくつかの国々に売り歩く予定です。すべてをここでお売りするわけにはいきません。」
王様
「売る?
何を言っているんだ。
私への献上品だろ。
もらってやると言っているんだ。
感謝しろ。」
なんなんだ?
言っていることが理解出来ないよ。
僕
「あなたに献上する理由などどこにもないんですけど?」
王様
「このカルタンゴ様が決めたんだ。
きさまらは従えばいいんだ。」
僕
「もう、らちが明かないな。
今回の話はなかったことにしましょう。
私たちは失礼します。」
カルタンゴ
「おいおい。
ここから出られると思っているのか?」
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