商談の旅

パエルモにいると西部が食糧不足だとはわかっても、どこが被害が大きいのか、とかの詳細情報までは入ってこない。


とりあえずダンジョンのあるランドル王国に転移する。ランドル王国はダンジョンがあるからモンスターの肉は潤沢に手に入る。

食糧不足もそこまで深刻じゃないだろう。


魔族が拠点にしているノルマンに近いエリアが大変だろうと考えて、まずはノルマンに近いエリアを目指す。

そこから順番に回る予定だ。

まずは小国群を回って、余力があればドバン帝国って感じかな。


ここら辺は魔族による被害が昔から頻ぱんにあり、国が大きくならないらしい。そのため、小さな都市国家の乱立するエリアになっている。




最初に降り立ったのはゴルテンという街だ。

そして街が国でもある。

やはり氷焉のアルタイルの攻撃にあったらしく、街には活気がない。

僕とガロッソさんは街の中央、市庁舎のような建物を目指す。


入口で衛兵さんが声をかけてきた。


衛兵

「何かご用ですか?」


ガロッソ

「Aランク商人のアキラと申します。

この辺り一帯が食糧不足と聞き、食糧を持って参りました。急で申し訳ないのだが、どなたか商談が出来る方とおつなぎ頂きたい。」


衛兵

「少々お待ちください。」


衛兵さんの1人が奥に入っていく。


しばらく待つと、戻ってきて


衛兵

「陛下がお会いされるとおっしゃっております。どうぞ、こちらへ。」


ガロッソ

「有難うございます。」


一礼するガロッソさん。

僕も一緒に礼をして、衛兵さんについて行く。


通されたのは会議室のような部屋。

王様と重臣たちが座っていた。

ガロッソさんが頭を下げるので、真似して頭を下げる。


王様

「顔をあげよ。

Aランク商人のアキラ殿よ。

ゴルテンへよく来てくれた。」


ガロッソ

「急な訪問にも関わらず、ご対応頂き、誠に有難うございます。」


王様

「食糧を持ってきたと聞いているがまことか?」


ガロッソ

「はい。

こちらが目録になります。

ゴルテンで必要な量をご購入頂ければと。」


ガロッソさんが出した目録を役人が受け取って、王様に渡す。


王様

「本当にこれだけの量の食糧を用意出来るのか?」


ガロッソ

「Aランク商人ですので。

他にも食糧不足で苦しんでおられる国々を回ろうかと考えております。」


王様

「そうか。

是非、そうしてくれ。

周辺の国々で食糧不足から山賊が増えてしまっては我々も他人事ではすまないからな。」


ガロッソ

「そのつもりでございます。」


王様

「ザイル、

出来れば2週間分の食糧を確保したい。

計算して、アキラ殿に伝えてくれ。

経費はなんとでもする。」


重臣

「承知しました。

アキラ殿、少しお待ち頂けますか?」


ガロッソ

「もちろんです。」


しばらく待つと、目録に必要数が書き込まれて渡された。


ガロッソ

「承知しました。

それでは、

食糧を入れる倉庫をお教えください。

それと、お支払の時期と方法についてもご希望をお教えくださいませ。」


重臣

「手付金として1割をお支払致します。

残りに関しては納品を確認してから、お支払致します。それでよろしいかな?」


ガロッソ

「もちろん、問題ございません。」


重臣

「では、これから倉庫の場所をご案内致します。」


ガロッソ

「宜しくお願い致します。」


王様

「アキラ殿、

貴殿の提案に感謝する。

これで国民を餓死させずに済む。

価格の設定も良心的だ。

平常時でも安いぐらいの価格だ。

今まで食糧をかき集めようにも手に入らず苦戦していてな、粗悪品を高く売りつけようとするような輩ばかりだった。

本当にありがとう。」


ガロッソ

「もったいない御言葉です。

我々はただの商人です。

商人の根本は必要な人に必要なものをお売りすることです。

商人らしく振る舞ったに過ぎません。」


王様

「アキラ殿こそ、

真の商人だな。

現在我が国には歓待するための食糧が無いが、落ち着いた時にはまた来て欲しい。

国賓としてもてなそう。」


ガロッソ

「有り難き御言葉。

期待しておきます。」


それから、指定された倉庫に販売した量の農作物を出したら驚いてたよ。

まぁ、ここまでの大容量のマジックバックは世の中に出回っていないからね。

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