奇跡の収穫体験

3日後の朝。

約400人をグルラさんは召集してくれた。

それにこれから収穫しようとしていた農地もいくつか確保してくれた。


作業してくれる人たちには通常の倍ぐらいの日当を用意したし、農地を用意してくれた人にもちゃんと対価は支払っている。


作業する人たちを集めて、その前にグルラさんが立った。


グルラ

「よく集まってくれた。

これから収穫だ。

チームに分かれて収穫を行う。

唯一、普通と違うのは、収穫した後、すぐにこの薬品をその切断面に1滴垂らすんだ。

それだけだ。

すると実が復活する。

それをとにかく繰り返す。

わかったな。

さっそくスタートしてくれ!」


グルラさんの号令のもと収穫が始まり、、、

そこかしこでどよめきが起きた。


「なんだコレ?」

「すげぇ!」

「あり得ねえ!?」


でも、みんな馴れるんだよね。

昼前にはみんな淡々と作業に集中していた。


僕は山のように積み上がっていく野菜をどんどんマジックバックに入れていく。


本当は麦や稲の方が食糧不足の対策としてはいいんだろうけどさ。収穫する時、かなり根本に近いところを切るから、再生が大変なんだよね。

たくさんの人たちに配る為に薄めているから、植物全体のうち、収穫する部分の割合が大き過ぎると再生できなかったりしてしまう。




グルラ

「凄まじいな。

これなら国の1つや2つ、簡単に養えそうだな。」


「でしょ。

でも、さすがに自主規制しないとね。

今回限りだよ。」


グルラ

「そうだな。

これが当たり前になると世界のバランスが崩れるな。

これを全部売るのか?」


「どれぐらい売れるかはわからないけど、食糧不足の地域で売りさばくつもりです。

利益は山分けしましょうか。」


グルラ

「かなりの金額になるんじゃないか?

本当にいいのか?」


「これからジャブル大陸の交通網を整備しようと思ったら、お金はいくらあっても足りないぐらいでしょ。」


グルラ

「ありがとよ。

じゃあ、遠慮なく使わせてもらうぜ。」




それから5日間。

作業を行った。

最後には作業に参加した人たちにちょっとしたボーナスも渡した。

グルラさんの人心掌握術ってやつかな。


そして、すべての農作物を受け取って僕はコーラル商会を訪れた。


「・・・と言うことで、エミルさんを貸してください。」


ガロッソ

「何が『と言うことで』なんだ?」


「これから、この農作物を西側の小国に売るんですよ。そんな交渉、僕にはムリですよ。

なので、エミルさんを貸してください。」


ガロッソ

「あのな~。

お前はもう大商人なんだぞ。

それが駆け出しのエミルに交渉を頼ってどうするんだ。

それに、さすがに小国とは言え、各国の首脳クラスとの交渉はエミルには荷が重い。

そうだな、、、

私が同行しよう。

ただし、販売額の3パーセントを手数料として頂くぞ。」


「有難うございます。

やっぱりガロッソさん、頼りになります!」


ガロッソ

「調子いいな。

いい加減、初めての相手とも商談出来るようになれよ。

アキラは世界的な大商人。

コーラル商会より格上だからな。」


「頑張ります、、、

でも、初対面の貴族とかって緊張するじゃないですか。

足もと見られても嫌だし、騙されるのも嫌だし。」


ガロッソ

「何事も経験だ。

私だって若い頃は商談で失敗したこともいっぱいある。

多少は馴れないとダメだぞ。

今回は一緒に回るが、途中で1ヵ所ぐらいは自分で商談してみろよ。」


「わかりました。

やってみます。」


ガロッソ

「よし。

それじゃ、いつ出発する?

私は明後日以降ならいつでもいいぞ。」


「じゃあ、明後日、スタートしますか。

何か予定が入ったらいつでも言ってください。パエルモに戻るのはいつでも出来るんで。」


ガロッソ

「わかった。

それじゃ、明後日な。」

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