別腹亭

リョーコ

「すべてを話すことはできないけど、

私たちはスノーデン王国の王都に向けて、凄まじいスピードで飛んでるわ。

そして、今日中に到着する予定だって聞いてる。」


ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ


リョーコ

「満腹亭に素晴らしい食材が集まる理由の1つはこれね。

当然だけど、口外しちゃ、ダメよ。」


4人がかくかく頷く。

完全に頭がショートしている感じ。


空を飛んでいる間にリョーコさんが色々説明してくれた。

ただ、なんか、僕のことを『非常識の権化』って言ってたのは、ちょっとひどくない?


数時間あるからね。

だんだん、みんな落ち着いてきた。



「そろそろ到着だよ。

さすがに街のど真ん中に空から降りるのは問題あるから、街の外に着陸して、歩いて街に入るからね。」


リョーコ

「街に入る手続きもAランク商人のアキラさんと一緒だからすぐに終わると思うわ。

町に入ればお店までもう少しよ。」


「そうだ。

忘れてた。

みんな、これを着てね。」


みんなにコートを渡す。


「今は、僕の魔法で寒くないようにしてあるけど、本当はすごく寒いからね。リズムリア王国と同じ格好だと凍死しちゃうよ。

地上に降りたら寒さを防いでいる魔法を解除するから、ちゃんと防寒してね。

このコートはプレゼント。

他の防寒具は給料で買ってね。」


みんながコートに袖を通していく。


リョーコ

「このコート、

たぶん高級品よ。

普通のコートだとこんなに温かくないわ。」


男性シェフ

「本当だ。

こんな肌触りの良い革は初めてです。」



地上に到着。


ふらい屋女子

「雪!」


女の子たちが楽しそうに雪を踏んで遊んでいる。パエルモだと雪を見ることもないからね。


「じゃあ、街に入るよ。」


僕の案内でスノーデン王国の王都を歩いていく。案内出来るほど僕も詳しくないからね。

ただ店を目指して歩くだけ。

後で自力で詳しくなってください。




「さぁ、もうすぐお店だよ。」


僕のお店が見えてくると、いかつい集団が店の前に集まっていた。


パン屋女性

「何あれ?」


4人がビビっている。


「大丈夫だよ。

こんにちは。」


グエン

「久しぶりだな。

今日来る予定だと聞いたんでな。」


「わざわざありがとうございます。

こちらの5人がここで働くメンバーです。」


リョーコ

「店長のリョーコです。

宜しくお願いします。」


軽く一礼するリョーコさん。


グエン

「この店の警備責任者のグエンだ。

私の弟子たちが順番に警備を請けもつ。

何かあれば、いつでも声をかけてくれ。」


「警備態勢は問題無さそう?」


グエン

「問題無い。

軍隊でも襲ってこない限り大丈夫だろう。」


「うちの大切な従業員だからね。

宜しくお願いします。

あちらの建物は詰所みたいな感じかな。

自由に使ってください。」


グエン

「すまない。

現場責任者はあなたになるのかな?」


リョーコ

「ええ。」


グエン

「後で警備態勢に関して打合せをしたい。

我々はあの建物にいるので、顔を出してもらえるか?」


リョーコ

「わかりました。

宜しくお願いします。」


グエンさんたちと別れて、僕らはお店に入った。


「ようこそ、『別腹亭』へ。」


リョーコ

「『別腹亭』?」


「そう。甘いものは別腹でしょ。」


リョーコ

「まぁ、アキラさんの系列店って分かりやすくていいかもね。

オシャレさは無いけど。」


「本当は、

パティスリーリョーコとかも考えたんだけど、なかなか良いのが出てこなくて。

えいやっ!って感じで決めちゃった。」


リョーコ

「名前なんて後からついて来るものよ。

いずれ、洋菓子と言えば別腹亭って言われるようにしたいわね。」


「リョーコさんとなら出来る気がします。」


リョーコ

「そうね。

やりましょ!

さぁ、明日からは開店に向けて忙しくなるわよ。

みんな、よろしくね!」


ようやく別腹亭のお店と人はそろった。

後はオープンに向けて突き進むだけだね。

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