ベルフォーム伯爵

ペネロペ様に1部屋。

その他の従者に1部屋ということになりました。そりゃ、突然の来訪だから仕方ないよね。

ペネロペ様の部屋は豪華な来客用。

僕らの部屋は付き人用だから質素。

ただ十分な広さはある。


万が一の危険があるので、リンはペネロペ様の影に潜んでいる。

なので従者の部屋は僕と侍女と御者のおじさんだけ。侍女は若い女性なので、部屋に僕が魔法でカーテンのような仕切りを入れている。これでプライバシーも守られる。



僕はペネロペ様の部屋に呼ばれた。


ペネロペ

「これでベルフォーム卿はハロイドファミリーを捕まえに動くでしょう。」


「ありがとうございます。」


ペネロペ

「ただ、何事にも万が一というのはあります。警戒は緩めずにいきましょう。」




翌朝。

朝から騒々しかった。

僕たちは暇だね。

ペネロペ様はベルフォーム伯爵と会食したりしている。僕は護衛だけど、さすがに伯爵の屋敷の中ではやることもない。

念のため、リンは常にペネロペの影でスタンバイしているけど。


昼。


ベルフォーム

「ペネロペ様、

お待たせしました。

ハロイドファミリーはすべて捕まえました。」


ペネロペ

「さすが、ベルフォーム卿。

これで安心して外に出られます。

有難うございます。」


ベルフォーム

「ハロイドファミリーの幹部をこれから処刑しますが、見学されますか?」


ペネロペ

「見学はけっこうです。

あまり見たいものではございませんので。」


なんとかハロイドファミリーは退治してくれたみたい。ただ、ベルフォーム伯爵の言葉を鵜呑みにも出来ないから、後で確認はしとかないとね。



ペネロペ

「あまり長居してもご迷惑でしょうから、昼には失礼させて頂きます。」


ベルフォーム

「たいした歓迎も出来ず申し訳ございません。是非、今度はゆっくりとご訪問くださいませ。」


ペネロペ

「ベルフォーム卿のご配慮に心より感謝申し上げます。

次は夫と共にゆっくりと。」


ベルフォーム

「楽しみにお待ちしております。」



僕たちは馬車に乗ってベルフォーム伯爵のお屋敷を出発。

ただ、この馬車は目立つための馬車だからね。

大人しく街を出る。


「ちゃんとハロイドファミリーを解体してくれたのか確認しないといけませんね。」


ペネロペ

「こっそり確認に行きましょ。」


「えっ、ペネロペ様も来られるんですか?」


ペネロペ

「私も頑張ったんだから、成果を確認したいわ。」


「じゃあ、こっそり行きますよ。」


リンに馬車を守ってもらって、僕とペネロペ様の2人で街に戻る。

僕の結界で囲んで、見えないように空を飛ぶ。これなら誰にも見つからない。


こっそりクラリネ商会に入る。


「オルネさんいらっしゃいますか?」


店員

「アキラ様、

どうぞこちらへ。」


オルネさんの部屋へ案内してもらいました。


オルネ

「どうぞ。

ちょうど、ニックもいるわ。」


部屋にはオルネさんとニック。

僕らが部屋に入ると、


オルネ

「いらっしゃい。

そちらの女性は?」


ペネロペ

「知らない方がいいかもしれませんね。」


「まぁ、

信用できる人だから、心配しないで。

それでさ、

ハロイドファミリーってどうなったか知ってる?」


ニック

「それを報告するためにここに来ていたんだ。」


「じゃあ、僕らにも聞かせて。」


ニック

「ああ。

今朝、騎士団が強襲。

ハロイドファミリーは壊滅だ。

主要メンバーはすべて捕まり、資産もすべて差し押さえられた。

完全に再起不能だろう。」


オルネ

「今まで動かなかったベルフォーム伯爵が急に動くなんて、何をしたの?」


ペネロペ

「少しお願いしただけですよ。」


ニコリと微笑むペネロペ様。


ペネロペ

「問題は解決したようですし、行きましょうか。」


すぐに帰ろうとするペネロペ様。


「ちょっと、待ってくださいよ。

ペネロペ様~。

じゃあね。」


僕も慌ててペネロペに続いて部屋を出た。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ニック

「忙しい人たちだな。

・・・ん?

どうしたんだ、白い顔して?」


オルネ

「さっきの女性、、、

おそらく、王弟アーサー殿下の奥様よ。」


ニック

「なっ!?」


オルネ

「Aランク商人になると王族まで動かせるの。。。」


ニック

「テスイラ商会も喧嘩を売る相手を間違えたな。俺たちの常識が通用しないな。」


オルネ

「私もつきあい方を間違えないようにしないとね。」

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