ペネロペのバカンス

3日後。


ペネロペ

「アキラ様。

こちらの馬車をお願いしますね。」


豪華な馬車だけど家の紋章とかはどこにも入っていない。こんな馬車がろくに護衛をつけていないって、狙ってくださいって言ってるようなもんだよね。


「こちらがリン。

ペネロペ様の護衛をします。」


ペネロペ

「可愛い護衛さんね。

宜しくお願いします。」


リン

『リンだよ。

よろしくね。』


リンはペネロペ様の侍女のフリをすることになりました。本物の侍女ももちろん同行するけどね。


ペネロペ様、僕、侍女(本物)、侍女(偽物)、馬車の御者のメンバーで出発です。


ちなみに僕は護衛の冒険者風。

どう見ても弱そうだけどね。

本当は強いよ。


馬車ごと僕の結界で包み込んで、空を飛んで行く。馬車とは比べものにならないスピードでぐんぐん飛ばしていく。


ペネロペ

「すごいですね。

空飛ぶ馬車なんてロマンチックだわ。」


「さすがに空飛ぶ馬車は目立ち過ぎるので、外からは見えないように魔法をかけていますよ。」


ペネロペ

「それはそうでしょうね。

これが見えていたら王都中で話題になってしまいますわね。

それにしても、全然揺れないし、音も静かだから、馬車よりも断然快適ね。」


「これに馴れると馬車には乗りたくなくなっちゃいますよ。」


ペネロペ

「そうでしょうね。

これって馬車から降りても平気なのかしら?」


「大丈夫ですよ。」


ペネロペ様が馬車から降りる。


ペネロペ

「不思議ね。

地面のように固いのに、透明。

地上がはるか遠くね。」


「ええ。

頑丈だから、空飛ぶモンスターとぶつかっても問題ないんですよ。

まぁ、この高さを飛んでいるのでモンスターなんて、そうそういないですけどね。」




その後も、ペネロペ様とお茶をしながら、優雅に飛行し、特に問題もなくベルフォームに到着しました。


ベルフォーム近くで着陸し、そこからは馬車で進んでいく。

御者のおじさんと護衛風の僕は外に座り、ペネロペ様たちは中に乗っている。


街に入る時は僕の身分証を使用しました。

さすがにここでペネロペ様の身元をバラす訳にはいかないからね。


街に着いてからは豪遊です。

グルメにショッピングにとやりたい放題。

まぁ、王族なんだから豪遊しても当たり前なんだろうけどね。


ペネロペ

「豪遊のお芝居も大変ね。」


「普通に楽しんでますよね。」


ペネロペ

「あら、アキラ様にそう言って頂けるなんて、私の演技もなかなかね♪」


絶対演技じゃないと思う。

単純に楽しんでいるでしょ。

まぁ、それでいいんだけど。

ペネロペ様、美人だからね。

楽しそうな美人とショッピングや食事をして嫌な気持ちになる男はほとんどいないと思うよ。


夜になり、

日が暮れて、

高級店で高級なお酒を開けまくったペネロペ様を乗せた馬車が裏路地を通っていると、わらわらと男たちが出てきて、前後を封鎖されてしまった。


御者

「な、なんだ!?」


いかつい男

「なかなか派手に遊んでいるみたいだな。」


いかつい男

「俺たちと一緒に遊ぼうぜ。」


御者

「道を開けろ!

馬に蹴られてケガをしても知らんぞ。」


いかつい男

「あん!

死にたいのか?」


御者

「ひっ!?」


そりゃ、怖いよね。

いかつい男に睨まれて、御者のおじさんがびびってる。


ペネロペ

「あなたたち!

私の馬車に何の用です!」


ペネロペ様が馬車を降りてきて男たちを制止した。

さすが、堂々としている。


いかつい男

「馬車じゃなくて、お嬢ちゃんに用があるんだよ。」


ペネロペ

「まずは名乗りなさい!

名乗りもせずにレディに声をかけるなんて。」


いかつい男

「へへへ、

お嬢ちゃんが知る必要はねえんだよ。」


いかつい男

「黙って俺たちについて来な。」


ペネロペ

「まさか、ハロイドファミリー!?」


いかつい男

「ほう、よく知ってるじゃないか。」


いかつい男

「痛い目にあいたくなければ、言うことを聞くんだな。」


ペネロペ様が悪い笑顔をしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る