オルネの要望

オルネ

「わかったわ。

話は聞くわ。

でも、うちにとってデメリットが大きいと感じたら、途中でも断らせてもらうわよ。」


「ありがとうございます。

それでかまわないです。

ちょっと待っててもらえます?

1人連れてきたい人がいるんだけど。」


オルネ

「ええ、かまわないわ。」


僕は一旦店の外に出て、ニックだけを連れて、店に戻った。

ニックの仲間4人はそのまま結界に残してきた。まぁ、5人も連れていくと邪魔だもんね。


「すいません。お待たせしました。」


オルネ

「大丈夫よ。

そちらは?」


「ニック。

テスイラ商会の汚い仕事を引き受けてる人だよ。僕が捕まえた。」


オルネ

「本当なの?」


ニック

「ひどい紹介のされ方だが、事実だ。

ザンキの指示で動いていた。

クラリネ商会の馬車が連続して山賊に襲われた時も、護衛を直前に断るように仕向けたり、馬車が街を出たタイミングとかを報告していたのは俺たちだ。」


オルネ

「あれね。

確かに不自然なことが続いて対応に苦慮させられたわ。

どうやら本物みたいね。

そんな人を連れて来て何がしたいの?」


「腕を見てよ。」


オルネ

「奴隷の腕輪。

まさか、あなたの奴隷にしたってこと?」


「そういうこと。

逆にスパイとして使えるかな~、

と思ってね。」


オルネ

「確かに助かるのは間違いないわ。」


「それで、クラリネ商会がテスイラ商会に勝つための障害は何?

僕に出来る協力はするよ。」


オルネ

「・・・そうね。

いくつか課題はあるわ。」


「とりあえず、言える範囲で教えてもらえますか?」


オルネ

「まずはハロイドファミリーね。」


ニック

「だろうな。」


「ハロイドファミリーって?」


ニック

「このベルフォームを根城にする危険な連中だ。平気で犯罪行為をしてくる。」


「そんな連中ならどうして捕まらないの?」


オルネ

「ハロイドファミリーはベルフォームの裏社会を仕切っているのよ。だから、ある意味ベルフォームの治安維持には役立っているという側面もあるわ。」


ニック

「それにベルフォーム伯爵に上納金を納めているって噂もある。」


「で、なんで、そのハロイドファミリーが邪魔なの?」


オルネ

「私たちへの嫌がらせをしてくるのよ。

それで、護衛を増員しているけど、護衛の費用も負担だし、従業員も怖がってしまっているわ。

私はテスイラ商会と裏でつながっているとにらんでいるんだけど。」


オルネさんがニックに目をやる。


ニック

「ご名答。

テスイラ商会から依頼が出ている。」


「なるほどね。

ハロイドファミリーね。

他には課題はある?」


オルネ

「仕入れ枠の拡大ね。

どうしても昔からやっているテスイラ商会の方が仕入れる力が強いの。

アカツキ王国の商人に直接働きかけられたらいいんだけど、なかなか難しいわね。」


「なるほど。

アカツキ王国の商人との接点ね~。

他には?」


オルネ

「資金ね。

正直、テスイラ商会と戦うには心許ないのよね。大口でガツンと仕入れられると仕入交渉もより有利に進めることが出来るんだけどね。」


「資金は僕が融資するよ。

利息とかはいらないから。」


オルネ

「ただでお金を貸してくれるってこと?」


「うん。そうだよ。」


オルネ

「さすがにそれはやり過ぎね。

多少でも利息は払うわ。

ただより怖いものはないからね。

いくらくらい用意出来るのかしら?」


「う~ん。

10億ウォンカぐらいなら、すぐに用意出来るけど。」


オルネ

「・・・さすがAランク商人。

資金力が凄いわね。

そこまではいらないわよ。

そうね、、、1千万ウォンカ。

1千万ウォンカあれば、一気に事業を拡大出来るわ。

それ以上は分不相応ね。」


「オッケー。

じゃあ、

ハロイドファミリーを排除して、

アカツキ王国の商人との接点を増やして、

資金を融資する。

たぶん、全部なんとかなると思うよ。」


オルネ

「簡単に言ってくれるけど、かなりの大事よ。本当に大丈夫なの?」


「問題ないね。

Aランク商人を信じてよ。」

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