クラリネ商会のオルネ

少し、、、誤算がありました。

重力加速度って凄いね。

ドラが一気に加速した瞬間、結界の中のニックたちが押し潰されそうになってしまった。

慌てて結界を強化して、大ケガは防いだけどね。


まぁ、助ける義理はない相手。

多少痛い目にあってもらっても全然問題ない。

けど、これからスパイとして使う予定だから、死なれると困るんだよね。




「ベルフォームに到着。」


ニック

「あり得ないスピードだ、、、

もうベルフォームなのか。」


「もちろん。

なかなか面白い空の旅だっただろ。」


ニック

「二度とごめんだ。」


「僕を敵に回さないことだね。

ただ運ぶだけならこの程度だけど、

ドラが本気を出したらこんなもんじゃ済まないよ。」


ニック

「あぁ。

まだ死にたくないんでね。」


「じゃあ、僕はベルフォームに行ってくるよ。ちょっと待っててよ。」


ニック

「わかりました。」




目指すはクラリネ商会。

場所はニックから聞いた。

ニックたちは過去にはクラリネ商会を調べたりもしたらしい。

その情報で嫌がらせとかをしたらしい。

ろくでもないね。




さっそく、お店の人に声をかけてみよう。


「こんにちは。」


店員

「いらっしゃいませ。

今日はどうされました?」


「えっと、、、

会長さんに会いたいんだけど。

会えますか?」


店員

「え、会長ですか!?

申し訳ございません。

失礼ですが、どちら様ですか?」


「えっと、

アキラと申します。

あ、一応Aランク商人です。」


店員

「えっ!?」


「少し相談したいことがあって。」


店員

「本当に、本当なんですか?」


「これ、ギルドカードです。」


僕はギルドカードを見せる。


店員

「ほ、本当だ!」


「どうかな?」


店員

「少々お待ちください。

すぐに確認を取ってきます。」


店員さんが急いで奥に入っていった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


クラリネ商会の会長オルネは自室で仕事をこなしていた。


コンコンコン


従業員

「会長、失礼致します。」


年配の男性従業員が入ってきた。

クラリネ商会の古参である。


オルネ

「どうしたの?」


従業員

「会長に会いたいと、お客様が。」


オルネ

「客?

今日は来客はなかったと思うけど。」


従業員

「突然の来客です。」


オルネ

「それを私に言いに来たってことは、どこかの貴族かしら?」


従業員

「ハズレです。

Aランク商人のアキラ氏です。」


オルネ

「えっ!?」


年配の従業員がイタズラっぽく笑う。


従業員

「ギルドカードを確認したので間違いないかと思います。」


オルネ

「また、大物がいきなり来たのね。

接点はなかったはずだけど。」


従業員

「お会いになられますか?」


オルネ

「ええ。

そんな大物がいきなり訪ねてくるなんて、ただ事じゃないわ。

話を聞いてみましょ。」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


しばらく待つとさっきの店員さんが戻ってきてくれた。


店員

「お待たせしました。

こちらへ。」


店員さんについて奥に入って行く。

店員さんがドアをノック。


コンコンコン


店員

「アキラ様をお連れしました。」


オルネ

「どうぞ。」


ドアを開けると中には2人。

椅子に座る30代半ばの女性と50代男性。


「すいません、いきなり。」


オルネ

「かまいません。

初対面の私のところに、アポイントもなく、急にいらっしゃるなんて、よほどの話があるんですよね?」


なんか話のハードル上げられた気がする。

もしかして、急に来たこと怒ってる?


「急にすいません。

折り入って相談したいことがありまして。」


オルネ

「私に相談?

心当たりがないんだけど。」


「えっと、、、

どう説明したらいいのかな、、、

ざっくり説明すると、

テスイラ商会が僕に喧嘩を売ってきたから、叩き潰そうかなって思ってて。

その1つとして、競合のクラリネ商会を支援したいんだけど、どうかな?」


オルネ

「ちょっと待ってくれる。

話が突飛過ぎて、ついていけないわ。

いきなりそんな話を信用しろって言われても困るわ。」


「まぁ、そうだよね。

でもクラリネ商会にとっては悪い話じゃないと思うよ。

テスイラ商会とは良い関係じゃないんでしょ。」


オルネ

「良い関係じゃない、どころか、最悪の関係よ。業務の妨害を受けているわ。」


「なら、僕の誘いを断る理由はないでしょ。」

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