商人の戦い
ガロッソ
「逆恨みだからな。
正しい理由なんてないだろ。
だが、リズムリア王国では今、一番目立っている商人はアキラだ。
最年少でAランクまで駆け上がったからな。
逆恨みのターゲットとしては格好の的だぞ。」
僕
「なるほど。
少し調べてみます。」
ガロッソ
「気をつけろよ。
落ち目とは言え、Bランク商人だ。
貴族や豪商から、汚れ仕事を専門にやっているような人間まで、幅広い人脈を持っているようだからな。」
僕
「わかりました。
実験農場以外も防衛体制を強化しときます。」
ガロッソ
「直接の戦闘は心配していないが、仕事の邪魔をしてくる可能性もある。どちらかと言うと商売で邪魔をされた方が困るだろ。」
僕
「あ、あれですか。
『虫が入ってだぞ。どうしてくれるんだ。』
とか言って暴れる、
みたいな。」
ガロッソ
「なんだ、そのイメージは、、、
そんなわかりやすい方法は普通はしないぞ。
商人同士の戦いはそこまで単純じゃないからな。
仕入先や顧客の切り崩しとか、そういう争いだぞ。」
僕
「商人同士の戦いか~。
なんかかっこいいね。」
ガロッソ
「そんな楽しいもんじゃないぞ。
ただ、アキラ、お前も商人だからな。
少しは商人としての戦い方を学んだ方がいいぞ。」
僕
「わかりました。
テスイラ商会を商売で倒します。
当然、今使えるツテを使うのは商人として問題ないですよね。」
ガロッソ
「当然だ。
使えるものはなんでも使う。
法律に反しなければ、なんでもやるぞ。」
僕
「さすが。
僕も見習ってみます。」
僕はお礼を言って、コーラル商会を出た。
さっそく『くろがねの刃』のところに戻る。
今回はドラにもついてきてもらいました。
ニックたちはもう、空には慣れたみたい。
5人がボーッと突っ立っていた。
僕
「お待たせ。」
ニック
「よ、良かった。
見捨てられたのかと思った。」
僕
「まぁ、見捨ててもいいんだけど、
せっかくだから働いてもらおうと思ってね。」
ニック
「何をすればいいんだ?」
僕
「まず、教えて欲しいんだけど、
テスイラ商会のライバルって言うとどこになるの?」
ニック
「クラリネ商会だな。
同じくベルフォームを拠点として、同じようなタイミングに代替わりをした商会だ。
ただ、クラリネ商会の会長オルネはやり手でな、ここ数年、業績をぐんぐん伸ばしている。
ギルドランクはCで格下だが、勢いはクラリネ商会の方が上だ。
当然、テスイラ商会の会長デューポンは目の敵にしているよ。」
僕
「じゃあ、いやがらせも?」
ニック
「もちろん、やっている。」
僕
「なるほどね。
じゃあクラリネ商会と接触してみるかな。」
ニック
「なぁ、情報提供しただろ。
そろそろ出してくれないか?」
僕
「そうだね。
じゃあ、腕を出して。」
僕はちらりと奴隷の腕輪を見せる。
ニック
「奴隷の腕輪、、、
何をさせるつもりなんだ?」
僕
「スパイだよ。
テスイラ商会の情報をリークしてもらう。」
ニック
「だが、いずれバレるぞ。」
僕
「バレたらテスイラ商会から狙われるだろうね。バレないように頑張って。
それとも、この場で殺される方がいい?」
ニック
「・・・スパイとして働かせてください。」
僕
「良い返事だ。
じゃあ奴隷の腕輪をつけるよ。」
5人の腕に装着する。
僕
「じゃあ、ベルフォームへ行こうか。
ドラ、お願い。」
ドラ
『任せとけ。』
ドラが巨大化して、ニックたちの入った結界を鷲掴みにする。
ニック
「なんだ!?」
僕
「僕の従魔だから心配はいらないよ。」
ニック
「従魔!?
こんな巨大なドラゴンが!?」
本当は結界のまま飛べるからドラに運んでもらう必要はないんだけどね。
軽い脅しを兼ねて、ドラに来てもらいました。やっぱり巨大化したドラは威圧感あるからね。裏切る気持ちなんか微塵も起きないようにしないとね。
なにせ、奴隷の腕輪をつけても逃げようと思えば、逃げることは出来てしまう。
僕
「じゃあ、行こうか。」
ドラには下から見えないように姿眩ましの魔法をかけているから、大丈夫なはず。
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