急報

スノーデン王国の新店舗作りは順調に動き出した。次は新しい従業員の募集と選考だね。

とりあえず、ふらい屋には伝えたし、お店に1枚、求人のチラシを貼り出した。


参加人数がわからないと困るので、事前に声をかけてもらうようにしている。

けっこう応募は集まってきている。


「どうしようかな~。」


マユラ

「何悩んでるの?」


「今度の選考だよ。

けっこう応募きているし、場所と選考方法をどうしようかと思って。」


マユラ

「場所は、最悪、郊外の空き地とかでもいいし、場合によっては伯爵様に相談したらいいんじゃない?

それよりも問題は選考方法じゃない。

スパイみたいなのに入り込まれても嫌だし。」


「そうだよね。

全員調べるのは大変だし、僕のスキルで割り出すのも、ちょっとやり過ぎな気がして。」


マユラ

「確かにいきなり眠らされる採用試験ってのも異常だよね。」


「だよね~。」


そんな話をしていたら、ハナが駆け寄ってきた。かなり慌てている感じ。


「どうしたの?」


ハナ

『実験農場にいるコハナが殺された。』


「相手は!?」


ハナ

『わからない。』


「わかった。

僕が行く。

ハナは満腹亭にいて。

何があるかわからないから。」


ハナ

『わかった。』


「マユラさん、実験農場で何かあったみたい。ここに影響があるかどうかはわからないけど、警戒はして。」


マユラ

「わかった。」


僕は急いで満腹亭の地下にある転移システムを使用する。

コハナはそれほど強くない。

でも、そこら辺に出てくる野生のモンスターぐらいなら楽に倒せる。

何があったのは間違いない。

モルガンさんたち、大丈夫かな。




転移先は静かなものだった。

実験農場の地下にあるスペースが転移システムの中心になっている。

すべての転移はここを経由して行うシステムになっている。

満腹亭→実験農場→満月亭

こんなルートになる。

そういう大切な場所なので、結界で覆っている。入れるのは僕や従魔、満腹亭、満月亭、満面亭の従業員に設定してある。

実験農場の従業員たちは入れない。


だから、静かなのは当然なのだ。


「キャァーーー!!」


今のは完全に悲鳴だよね!

何かヤバいことが起きているのは間違いない。僕は急いで転移システムから出て外の様子を探った。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


モルガン

「女、子どもは食堂に避難させろ!」


「ルッチ一家が大怪我みたいだ。」


「ザックも足をやられて動けない。」


「うちの子が、うちの子が、

見当たらないの!」


モルガン

「わかった。

探そう。

先に避難しておくんだ。

ケン、

アキラ様から預かった回復薬がある。

怪我人に使え!

残りの男たちは俺に続け。

俺たちで侵入者を止めるぞ!」


男たち

「「「おう!」」」


農具を持ったモルガンさんたちと、5人組の冒険者風の男たちが向かい合う。


モルガン

「お前たち!

何者だ!」


冒険者風の男

「名乗る必要はないだろう。

それよりも、お前がリーダーか?」


モルガン

「だったらどうだと言うんだ!」


冒険者風の男

「ここは異常だ。

聞きたいことが山ほどある。

質問に答えてもらうぞ。」


モルガン

「お前たちの質問に答えるつもりはない!」


冒険者風の男の1人が火の弾を撃ち出す。

それが地面に炸裂し火柱があがる。

1人が巻き込まれる。


「うわぁぁぁぁ!?」


服に引火して転がり回る。

回りの男たちが火をはたいて消火する。


冒険者風の男

「これは警告だ。

直撃させれば、この程度では済まないぞ。

素直に答える気持ちになったか。」


モルガン

「ふざけるな!

そんな脅しに屈するつもりはない!

俺たちも戦闘訓練は受けているんだ。

なめるなよ!」


モルガンさんたちは農具を構える。


冒険者風の男

「おいおい、鍬で何が出来る。

どうやら、もう少し痛い目にあわないと理解出来ないようだな。

何人か殺すか。」


冒険者風の男たちが放つ殺気に、農場の男たちは怯む。

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