物件探し

営業部長

「承知しました。」


リョーコ

「出来れば、お店の周辺も少し見させて頂けますか?」


営業部長

「馬車を用意しておりますので、店の周辺も見ながら向かいましょう。」


僕、リョーコさん、営業部長さんと若手店員さんの4人で物件を見て回った。


1件目は貴族の邸宅だね。

貴族の邸宅にしては小さめ。

貴族街の端っこ、一般市民の住居とも隣接している。


2件目はパン屋の居抜き。

一番スムーズに使えそうかな。

でも少し寂れているから修繕は必要かも。


3件目は商人の家。

ほどほどに大きくて立派。

キッチンは家庭用だから、多少の設備の増設は必要かな。


4件目は元宝石店。

お店の作りとしては洋菓子店として使いやすいかも。


「どうでした?」


リョーコ

「私としては3件目か4件目かな。

アキラさんは?」


「僕はその二択なら、3件目かな。

3件目なら、1階を店舗にして、2階を住居に出来るでしょ。

安全性を考えると無難だと思うよ。

4件目は住居スペースがないから、みんな通いになるでしょ。閉店後とかに帰る時が危ないかなって。」


リョーコ

「確かに、その問題はあるかも。

でも3件目は改装費用が高そうよ。

いいの?」


「大丈夫。

気にしなくていいよ。」


リョーコ

「は~、さすがね。

私がお店出す時なんか、お金の計算ばっかりして、切り詰めまくったんだから。」


「普通はそうだよね。

あ、すいません。

こちらの物件でお願いします。」


僕は資料を渡す。


営業部長

「ありがとうございます。

改装されるということですが、我々が提携している業者を紹介致しましょうか?」


「助かります。

その業者さんとはいつお会い出来ますか?」


営業部長

「このまま事務所に行ってみますか?

留守の可能性もありますが、居ればすぐに打合せも出来るでしょうから。」


「お願いします。」



そのまま4人で馬車で向かいました。

街の工務店って感じかな。

大工の棟梁って感じの社長さんがいました。

ハチマキ姿に作業着を着ている。


営業部長

「棟梁、いつもお世話になってます。

今、お時間よろしいでしょうか?」


棟梁

「おうよ!

そちらのお連れさん、

お客さんかい?」


営業部長

「そうなんですよ。

あの前に話をしていた商人の家あったでしょ。あそこを改装して、1階を菓子屋、2階を従業員の住居にしたいんですよ。」


棟梁

「おう、あそこか。

部屋の間取り図は持ってるか?」


営業部長

「ございます。」


棟梁

「じゃあ、

これを見ながら要望を教えてくれ。」


リョーコ

「ここを接客のスペースにしたいんです。

なので、外から見えるように広めの窓を入れて頂いて。

それから厨房が狭いので、このスペースまで厨房にしたいです。

ここは客席にしたいので解放感がほしいです。」


さすがリョーコさん。

テキパキと要望を伝えていく。

棟梁もそれを図面に書き込んでいく。


棟梁

「実物を見てみないと断定は出来ないが、おそらく、この壁は壊せないな。

建物の強度の問題だ。

こっちをぶち抜くのは問題ないけどな。」


あっという間に方向性が決まっていく。

僕は2階部分や護衛の待機スペースに使えそうな離れについて要望を伝えた。


棟梁

「間取りはだいたい決まったな。

ただ、現物の状況を見て、調整する可能性はあるから、それは了承してくれよ。」


リョーコ

「わかったわ。」


棟梁

「外観や内装はどうする?」


リョーコ

「ちょっと紙とペンある?」


「ありますよ。」


リョーコさんがサラサラっとイラストを描きながら要望を伝えていく。

器用だね。


棟梁

「なるほどな。

サンプルを集めておくから、内装工事に入る前に再度打合せさせてくれ。」


「わかりました。

じゃあ日程を決めて、また打合せしましょう。」


棟梁

「よし!

いつでも工事に入れるぞ。

いつにする?」


営業部長

「まだ物件の購入手続きが終わっていないんです。お支払の準備はいつ頃に出来そうですか?」


「今払おうか。

それならスムーズでしょ。」


営業部長

「あの物件を即金で、ですか!?」


「ダメですか?」


営業部長

「滅相もない。

こちらとしては有難い限りです。」


スノーデン王国の新店舗作りは一気に加速してきました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る