決勝

実況

「さぁ、決勝のリングに2人が入場して参りました。

最強の男の弟子はやはり最強なのか。

ここまで、その猛攻を誰も止められず。

ラウル選手!


かたや、

予選に一般参加し、破竹の快進撃。

安定した試合運びで勝利を積み重ねてきました。

アイラ選手!」


アイラさんとラウル選手がリング上で向かい合う。

ラウル選手はでっかい大剣。

ファンタジーの世界じゃないと持てないヤツだね。


審判

「両者、構えて。

・・・はじめ!」


開始の掛け声とともにラウル選手が動く。

強烈な一撃。

踏み込みながら突進のような袈裟斬り。


対するアイラさんは沈みこんだ姿勢から居合い抜き。下から斬り上げる。


両者の攻撃がぶつかる。

激しい衝撃を周囲に撒き散らす。

両者一歩も下がらない。


そこから両者の打ち合いとなった。


実況

「初手は両者互角。

ここから両者が激しく打ち合う。

どちらが主導権を握るのか!」


主導権を握ったのは・・・

アイラさんだ。


ラウル選手は大剣の両手持ち。

パワーはあるけど、小回りはきかない。

スピードの面では、完全にアイラさんに軍配が上がった。


ラウル選手はそれでも大剣とは思えないぐらい、軽々と振り回す。

しかし、アイラさんのコンパクトな連続攻撃を防ぎきれない。ダメージが蓄積していく。

アイラさんはそれでも大振りはせず、淡々とダメージを稼いでいく。


ラウル選手は我慢しきれず動く。

防御を捨てて、捨て身の一撃を放つ。


しかし、

アイラさんは受け流す。

無理はしない。


追撃は軽く一当て。

その後もラウル選手が焦れば焦るほど、アイラさんは冷静に的確にダメージを重ねていく。


ラウル

「くそっ!」


ラウル選手が無理な体勢から、強引に剣を振り回す。

その隙を見逃すアイラさんじゃない。


アイラ

「はっ!」


きれいにカウンターがきまる。


ラウル

「ぐっ!」


バランスを崩したラウル選手。

その首筋にアイラさんの刀が止まる。


ラウル

「参りました。」


審判

「それまで!

ラウル選手の降参により、

勝者、アイラ選手!」


ワー ワー ワー ワー ワー ワー ワー

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

会場が歓声と拍手に包まれる。


実況

「優勝はアイラ選手です!

おめでとうございます!

会場からも割れんばかりの拍手が送られています。

この後、授与式を予定しております。

国王陛下からのお言葉と賞品の授与がございます。

少々お待ちください。」




その後、授与式が行われた。

3位まではけっこうな賞品だった。

それと、後で聞いたら、控え室で騎士団へのスカウトがあったみたい。

アイラさんは断ったけどね。


僕らが会場の外で待っていると、

ようやくアイラさんがやって来た。


僕たち

「「「おめでとう♪」」」


アイラ

「ありがとう。

待たせてすまなかった。」


「いいよ。

手続きとかもあるんだろうし。」


テレサ

「さすがでした!

あれほど美しい太刀さばきは見たことがありません!」


テレサさんが一番興奮しているね。



「お?あれ、アイラ選手じゃねぇか?」

「あっ、ホントだ!」

「近くで見ると美人だな。」

「手を出したら、斬り落とされるぜ。」

「アイラ選手になら、斬られてもいい。」


観客たちがアイラさんに気付いて、どんどん集まってくる。


さすがに、この状況で転移は出来ない。


「逃げよう。

みんな、ついて来て。」


観客に囲まれて身動きが取れなくなっちゃうから、僕らは急いで移動を開始した。


子どもや非戦闘員もいるから無理は出来ない。弱い結界魔法や、認識阻害、なんかを使いながら、街の外を目指す。


ようやく一般の観客を振りきれた。


しかし、


アイラ

「なにか用か?」


僕らをつけてきた一団がいた。

ラウル選手たちだ。


グエン

「少しお願いしたいことがあってな。」

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