準決勝
続いて、準決勝。
アイラさんの対戦相手はレイブン選手。
スノーデン王国の騎士団副団長。
30代後半、精悍な顔つき。
装備は長剣と盾。
王道の騎士スタイルだね。
騎士団の副団長だから、知名度、人気共に高いみたい。出てきたら拍手と歓声が大きいね。
一方、アイラさんはアウェイ。
今までの戦いでいくらかのファンは出来たみたいだけど、レイブン選手とは比べ物にならない。
実況
「両者入場してきました。
ここまで磐石な試合運びで勝利してきたレイブン選手。
前回準優勝のカーチス選手に勝利し、実力を示したアイラ選手。
素晴らしい試合が期待出来そうです。」
審判
「両者、構えて。
・・・はじめ!」
レイブン選手は盾を前面に出し、相手の攻撃を防いでから、反撃するスタイルみたいだ。
でもアイラさんは大振りもしないし、レイブン選手の反撃にも的確に対応していく。
どちらの攻撃もヒットしない状況。
先に変化を加えてきたのはアイラさんだ。
アイラさんがレイブン選手が盾を持つ左手側に動いていく。レイブン選手がアイラさんの攻撃を盾で防ぐと、どうしても死角が出来る。
それを利用して、
死角から攻撃を入れたり、
またフェイントを入れたり。
執拗にいやらしい攻撃を繰り返す。
レイブン選手も巧みに防いでいくけど、すべては防げない。
地味にダメージが蓄積していく。
どうするのかな?
レイブン選手が状況を変えるにはかなりリスクの高い選択をしないといけない。
でも、何もしないとジリ貧だ。
実況
「アイラ選手、
巧みに攻撃を重ねていく。
レイブン選手は防戦一方だ。」
そのまま大きな変化もなく時間だけが進んでいく。
そして、
審判
「それまで!
レイブン選手のHPの喪失により、
勝者、アイラ選手!」
やったね!
これで決勝進出だ!
僕らは大盛り上がり。
会場は盛り上がりに欠ける感じ。
戦い方が地味過ぎたのかもしれないね。
レイブン
「まったく隙がなかった。
私の完敗だ。
あれだけの連続攻撃で、一度も隙を作らないのは驚異的だった。」
アイラ
「それはあなたも一緒だ。
あれだけ攻撃しても、崩しきれなかった。
その集中力に感服した。」
アイラさんとレイブン選手が握手を交わしてから退場していった。
僕
「次はいよいよ決勝だね。」
テレサ
「アイラ様が負けるはずがありません!
このまま優勝です!」
マユラ
「次の試合で対戦相手が決まるね。
どっちになるのかな?」
僕らがワイワイと話している間にもう1つの準決勝がスタートした。
こちらはアイラさんの試合とは真逆の展開となった。
開始直後、ラウル選手の強烈な一撃がさく裂。対戦相手は吹き飛ばされて体勢を崩した。
そして、顔を上げた時には目の前にラウル選手の剣の切っ先。
そのまま降参。
まさに一瞬の出来事。
その鮮烈な勝利に観客は大いに沸いた。
そして、3位決定戦。
勝ったのはレイブン選手。
しかし、ラウル選手に敗れた選手も十分強かった。レイブン選手との激闘は見ごたえがあった。
レイブン選手が盾で巧みに相手の攻撃を弾き、そこで生まれた隙に一閃。
その後もレイブン選手の巧さが随所に光り、そのまま流れを掴んで勝利した。
そして決勝。
アイラさん対ラウル選手。
ラウル選手はスノーデン王国では有名なグエンさんって人の弟子らしい。
観客席の最前列に弟子たちを連れたグエンさんって人が陣取っている。
なんでも、武闘大会を圧倒的な強さで5連覇。そのあまりの強さに戦いを辞退する選手まで出てきたことから、殿堂入りとして、武闘大会への参加を禁止してしまったらしい。
そのグエンさんは道場を開いており、ラウル選手はその弟子の筆頭という立場のようだ。
この大会への参加も道場の宣伝という要素も強そうだね。
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