会社のしがらみ

「えっと、、、

宜しくお願いします。」


社長

「それで、アキラ様はどのような物件をお探しですか?」


「テイクアウトとイートイン、

両方出来る飲食店をやりたくて。」


会長

「なるほど。

それでしたら、貴族街の周辺で一番大きな物件をお探ししましょう。

Aランク商人であるアキラ様に見合った物件を見つけてきますよ。」


「え、、、」


会長

「ほら、速く動かんか!

物件を見繕ってこい!」


営業部長

「はい! 直ちに!」


「ちょ、ちょっと待ってください。

僕は貴族街に店を出すつもりはありません。一般のお客さんも来やすくしたいんで。」


会長

「そうでしたか!

では、大通り沿いの一等地を押さえましょう。

どこが空いている?」


営業部長

「なかなか大通り沿いは空きはないかと、、、」


社長

「そんなもの立ち退かせればいいだろう!」


「ちょっと勝手に話を進めないでください。

そんなことは望んでいません。

もう少し、私の話を聞いてください。」


会長

「失礼しました。

ご期待に応えようとしたのが、空回りしてしまったようです。

アキラ様のお考えを聞かせてください。」


「僕の条件を言いますね。

街の中流家庭も来られるような立地、

テイクアウトは入口付近で対応、

イートインは20人ぐらい、

広めのキッチン、

食糧庫になる収納スペース

そんなところかな。」


会長

「よし!

今すぐに調べろ!」


「そんなに慌てなくてもいいです。

今度、店長を任せる人と一緒に見にきたいんで、その時までにピックアップしておいてくれれば十分です。」


会長

「お時間を頂けるのは有難い!

よし!

ご希望にピッタリの物件を用意しろ!」


社長

「空いてなければ、追い出してもかまわん!

いいな!」


営業部長

「はい!」


「ダメです!

追い出さないでください。

空いている物件から探しますんで。」


会長

「しかし、それではご希望に100パーセント応えられるかどうかわかりません!」


社長

「方法は我々にお任せ頂ければ、すべて問題ないように行います!」


「強引なことはやめてくださいよ。」


会長

「もちろんです!」


なんか不安なんだけど、、、


社長

「物件探しまでこちらに滞在されるのでしたら、来週の武闘大会をお楽しみください。」


「武闘大会?」


社長

「そうです。

ドバン帝国から穀倉地帯を取り返したことを記念して、国王陛下が介在されるんです。

国内外の猛者や観客などが続々と集まっています。観てみる価値はあると思いますよ。」


「考えておきます。」


その後、細かい段取りを決めて、今日の打合せは終了しました。

なんか、疲れた。。。



最初に対応してくれた店員さんに案内されて店の外へ。


若い店員

「申し訳ございませんでした。

商人ギルドのグランドマスターから直々のご紹介ということで会長が張り切ってしまって。」


「なかなかパワフルな方ですね。

でも、あんまり強引なことはしないでくださいね。」


若い店員

「その点はご心配いりません。

会長は数十年前で時間が止まっているので、むちゃくちゃを言いますけど、現場は常識的な対応をしていますから。」


「そうなんだ。

大変ですね。」


若い店員

「ええ、まあ。

あそこで否定的なことを言うと、お客様の前でもお説教を始めてしまうので、とりあえずは従っているように対応するんです。」


「会社勤めって大変ですね。」


若い店員

「扱い方さえわかれば簡単ですよ。

アキラ様のご要望に極力沿った物件を探しておきますので、ご心配せずに、またお越しください。」


「よろしくお願いします。」


あんな風にはなりたくないな。

僕も気をつけないとね。

僕も経営者だからね。

あんな裸の王様みたいにならないようにしないと。

まぁ、アイラさんとかマユラさんとかはちゃんと注意してくれるから、大丈夫だとは思うけど。

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