物件の確保

人材募集の道筋が決まったので次は物件探しだ。

まずはスノーデン王国のイーロンさんのところに行こう。

ここは転移では行けないから飛行魔法しかないんだよね。

ツンドラ大陸のダンジョンから飛んで行く。


スノーデン王国の王都は、

前に来たときより活気に満ちていた。

街を歩く人の量が多い気がする。


・・・僕に情報収集能力はないですよ。

気にせず、商人ギルドを訪問する。


窓口に並ばずに、職員さんに声をかけて、イーロンさんに書いてもらった書状を見せるとすぐに応接室に案内してもらえました。

並ばなくてもいいのは有難いね。


応接室でしばらく待つとイーロンさんが入ってきた。


イーロン

「すみません。

お待たせしましたね。」


「急にすいません。

忙しいところ、時間を作ってもらって。」


イーロン

「アキラさんとの商談は有益ですからね。

優先的に時間を作りますよ。」


「僕との話って、そんなに有益ですか?」


イーロン

「もちろんです。

ジャブル大陸への本格進出は長年の懸案事項でした。それが一気に進みましたからね。

それで、今日はどうされたんですか?」


「前にスノーデン王国に店を出さないか、っておっしゃってたじゃないですか。

それで、本格的に物件を探そうかと思いまして。」


イーロン

「私のお願いを覚えてくださってたんですね。有難うございます。

それでは料理人が用意出来たんですね?」


「そうですね。

ただ、僕がやろうとしているのはレストランじゃないんです。」


イーロン

「レストランではない。

では、どういった業態ですか?」


「洋菓子店です。」


イーロン

「洋菓子店とはどんな店なのですか?」


「見てもらった方が早いですね。」


僕はマジックバックからケーキを出す。

今回はオペラです。


イーロン

「これは、、、」


「ケーキです。

これはチョコレートを使ったオペラという種類のケーキです。他にも色々な種類があるんですよ。

食べてみてください。」


イーロン

「いただきます。

・・・!

とても美味しいですね!

ただ甘いだけじゃない、

ほのかな苦みもある。

見た目も美しい。

これなら貴族を中心に話題になると思いますよ。」


「有難うございます。

でも、僕の目標は中流家庭でもたまの贅沢品として、手が出せるようにしたいと思っています。

なので、価格は抑えられる限り抑えたいです。

もちろん、貴族向けに豪華なのも作りますけどね。」


イーロン

「なるほど。

面白いですね。

わかりました。

不動産屋に紹介状を書きます。

それを持って訪ねてください。

力になってくれるはずです。」


「有難うございます。

じゃあ行ってみます。」





紹介されたのは老舗の不動産屋さん。

かなり古い建物だね。

中に入ると、


若い店員

「いらっしゃいませ。

どうぞ、こちらへ。」


爽やかな接客。

席に座ると、


若い店員

「今日はどうされました?」


「えっと、、、

紹介状なんですけど。」


紹介状を差し出す。


若い店員

「拝見しますね~、、、!

少々お待ちください!」


慌てて店の奥に消える店員さん。


しばらく待つと、店員さんが慌てて戻ってきました。さすが、イーロンさんの紹介状。


若い店員

「こちらへどうぞ。」


案内されたのは応接室。


若い店員

「お掛けになって、少々お待ちください。」


少し待つとぞろぞろと入ってきた。

何事?

多いんだけど、、、


「本日は当店にようこそ、お越しくださいました。私が会長の・・・。」

「社長の・・・」

「社長夫人の・・・」

「営業部長の・・・」

「管理部長の・・・」


なんなの?

そんなに一気に名乗られても、

誰が誰だかわからないよ。

どうしよう?


僕が戸惑っていると、


会長

「アキラ様の物件探しには当社一丸となって対応させていただきます。」


社長

「窓口はこちらの営業部長にさせますので、なんなりとお申し付けください。」


会長

「部長に任せずにお前が直接やった方がいいんじゃないか。」


社長

「会長のおっしゃる通りですね。

私が直接担当致します。」


なんか面倒くさくなってきた。

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