ランタンへ

「家や家具は用意するよ。

ストックがあるから、土地さえ整えればすぐに用意出来るし。

妻の問題はどうかな?」


モルガン

「慌てる必要はないと思います。

真面目に働いていれば、いずれ褒美として前回のような見合いを実施すればよろしいかと思います。」


「了解。

じゃあ、5、6人を頼んでくるよ。」


モルガン

「では、皆にも伝えておきます。

あっ、それと、、、

可能でしたらコハナ様をもう1人お願い致します。おそらく、その人数で可能な範囲まで拡げると、コハナ様1人ではカバーしきれないかと思います。」


「それは盲点だったね。

コハナを追加しとくよ。」


モルガン

「ありがとうございます。」


実験農場と満腹亭は転移システムでつながっているから移動は一瞬なんだよね。

まだ実験農場のメンバーに使用許可は出していないけどね。





翌日。

さっそく、セージさんに戦争奴隷の手配を依頼した。今回は6人をお願いしました。

一気に増やし過ぎるとバランスが崩れるからね。まずは6人でお試しだね。


バレティアを出た後、ジプート連邦のカーメルへ転移。

カーメルはダンジョンがある街だから、ここを起点にする。


目標のランタンは少し離れている。

昼にカーメルを出発だから、

夕方にすべり込めるか、

翌朝まで待って入るか、

のどちらかになりそうです。


ギリアウトでした。

えっと、、、

軽く道を間違えました。

まぁ、空を飛んでいるから道ってこともないんだけどね。

うっかり、角度がズレてました。

少しのズレでも長時間飛ぶとロスが大きい。

景色も砂漠ばかりで代わり映えしないから、結界内で作業をいろいろやってたのがダメだったんだろうね。


夜の間に場所を確認して、翌朝、街に入ることにしました。



翌朝。

ランタンはジプート連邦の地方都市。

カーメルのようにダンジョンがあるといった特徴はない。

河を中心に発達している。

街と街の間は砂漠地帯だが、河の流域は作物の栽培が行われている。

ジプート連邦の中では比較的食糧事情は良い街だ。


僕は朝から街に入った。

早朝は街を出る人間はいても、入ってくる人間はほとんどいないため、手続きも一瞬だった。


そして、街をブラブラしながら、失敗に気付いた。

情報が少ないのだ。

異世界人が飲食店をやっているらしい。

その情報だけで店を見つけて、話をしないといけないのだ。


これは難しい。

僕のコミュニケーション能力では無理だ。

誰か連れてくれば良かった、、、

後悔しても、もう遅い。

わざわざランタンまで来て、何もせずに帰ったら、さすがに恥ずかしい。


僕に出来る範囲で探そう。

それで無理だったら助っ人を呼ぼう。

まずは自分で出来ることをやってみないとね。


よし、空を飛ぼう。

見つからないように姿を隠して、空を飛んでみる。

パエルモに比べると小さいね。

それに基本的に飲食店のある場所なんて、だいたい決まっている。

まともな飲食店は大通りや飲食店街のようなエリアにある。


この世界では隠れた名店なんてものはほとんどない。裏路地は危険なのだ。犯罪のにおいがプンプンする連中が沢山いる。そんな連中を相手にするようなお店じゃないだろう。


表通りの飲食店が建ち並ぶエリアで、店の外観や雰囲気で判断しよう。

店の前を順番に通ってみる。


う~ん、

なかなか個性的なお店が見つからない。

見た目は普通のレストランや居酒屋とか。

変わったところはない。


どうしようかな?

1軒1軒入ってみる?

さすがにきついよね。

この街の商人ギルドで聞いてみようかな?

でも、なんて聞いたらいいの?

自分から異世界人です、なんて名乗ってないだろうし。


そんなことを考えながら街を歩いていたら、強烈に良い匂いがしてきた。

バター?

小麦粉?

あのオーブンでパンや焼菓子を焼いた時の香りだ。

ここは飲食店街からは外れた、住宅街の一角だ。


香りの発生源はどこだ?

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