パエルモ伯爵の依頼

パエルモ伯爵のお屋敷を訪れるとすぐに案内してくれた。


パエルモ

「アキラか。

よく来てくれた。」


「すいません。

ちょっと留守にしていたもので。」


パエルモ

「かまわんよ。

お前が各地を飛び回っているのは知っているからな。」


「それで、僕にわざわざ声をかけたのは何かあったんですか?」


パエルモ

「身構える必要はない。

実はな、遠征に出ていたリズムリア王国軍がようやく帰還することになってな。

もうすぐこの街に到達するんだ。」


「アーサーさんたち、ようやく帰ってきたんですね。」


パエルモ

「そうだ。

それでな、長旅で疲れた将校をねぎらうための宴を用意することになったんだ。

人数も多いし、簡単な食事会になるんだが、そこで料理をふるまって欲しいんだ。」


「わかりました。

それぐらいなら、ご協力しますよ。」


パエルモ

「助かるよ。

満腹亭の料理は好評だからな。」


「そこまで高級じゃなくていいんですよね?」


パエルモ

「そうだ。今回の遠征軍は各貴族から兵士を集めたからな。それぞれの団体の代表者をねぎらうのが目的だ。

貴族本人ではないからな。

そこまで高級でなくてもいい。」


「わかりました。」


パエルモ

「それと、だ。

夕食後にアーサー殿下から少し飲まないか、と誘われていてな。

アキラも一緒にどうだ?」


僕とパエルモ伯爵とアーサーさん、

まさかの3人飲み会。


「いいですよ。」


パエルモ

「ありがとう。

アーサー殿下たちは4日後にこの街に到着する予定だ。

急で申し訳ないが、宜しく頼む。」





アーサーさんたちが来るまで後4日。

その間にリィズとフィオに料理を用意してもらおう。

貴族本人じゃなく、その配下の騎士団の団長とか、貴族の息子や親戚なんかが今回は軍に参加しているらしい。

貴族本人のパターンも多少はあるみたいだけど、爵位の低い貴族ぐらいだけだから、そんなに気にしなくてもいいんだって。


料理の準備はリィズとフィオがしてくれるから、僕はガンズさんに会いにいく。


ガンズ工房まで飛んで行く。


「ミトンさん、お久しぶりです。」


ミトン

「あ! アキラさん。

お久しぶりです。

棟梁にご用ですか?」


「そうなんだ。

ちょっと相談したいことがあって。」


ミトン

「わかりました。

少し待っててくださいね。」


少し待つと案内してくれた。

いつものガンズさんの部屋だ。


ガンズ

「よお、今日はどうしたんだ?」


「ちょっとこれを見てもらえますか?」


ガンズさんとメリルさんに人造スノーストーンを手渡す。


ガンズ

「面白い付与だな。

蓄冷って呼んだらいいのか?」


メリル

「ベースは魔鉄。

そこに冷属性の素材を使って変質させているようですね。」


さすがの2人。

一瞬で見ぬいちゃうんだね。


「これがね、僕は人造スノーストーンって呼んでいるんだけど、これって素材さえあれば量産出来るかな?」


ガンズ

「錬成技術をある程度持つ職人なら可能だな。」


「ガンズさんのところで量産ってお願い出来ますか?」


ガンズ

「出来ればやりたくないな。

アキラの頼みだから断りはしないが気乗りはしないな。」


「どうして気乗りしないんですか?」


ガンズ

「仕事として面白くないからだ。

どうせやるなら面白い仕事をしたいだろ。」


「そっか~、

そりゃそうだね。

ガンズさんの知り合いに受けてくれそうな人っていませんか?」


ガンズ

「いるぞ。

ここから独立した職人で、まだまだ依頼が少なくて困っている若い連中は何人かいる。

そんな連中なら安定収入につながる仕事は喜んで受けるだろう。

メリル、ピックアップしてやってくれ。」


メリル

「わかりました。

仕事を受けてくれそうな職人をピックアップしますね。

元はここで働いていた職人ですので、錬成の技術は確かですよ。」


「よろしくお願いします。」

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